海外で増える和食
2013年に「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。
海外における日本食レストラン数は、2017年時点で約12万店あります。
2013年に文化遺産に登録されてから、2017年までに海外の日本食レストラン数は倍増しました。
国内では深刻な和食離れ
世界から注目を集めている和食ですが、国内では、外食の増加や食生活の欧米化により、和食離れが進んでいます。
国民1人当たりが食べる米の量は、50年で半減。その一方で、牛乳・乳製品や肉類は増加しています。
和食に関するイメージ
四季折々の旬の食材を生かしながら、出汁のうまみを追求する和食。
- 健康的
- 栄養バランスがよい
- 野菜がたくさんとれる
子育て世代にこのような良いイメージを持たれています。
しかしながら手間がかかる・面倒ということで敬遠される傾向があります。
- 手間がかかる・面倒
- 塩分が高くなりがち
- 地味、茶色
このような悪いイメージを持たれています。
健康的な食事をとっている国
2014年に「健康な食事」の世界ランキングが発表されました。
調査を発表したオックスファムは、世界90ヵ国以上で活動するNPO活動団体。
調査では、食糧農業機構(FAO)、世界保健機関(WHO)、国際労働機関(ILO)の発表データをもとに、125ヵ国の食料事情を解析しました。
健康な食事 世界ランキング ベスト10
(1位)オランダ
(2位)フランス
(2位)スイス
(4位)デンマーク
(4位)スウェーデン
(4位)オーストリア
(4位)ベルギー
(8位)アイルランド
(8位)イタリア
(8位)ポルトガル
(8位)ルクセンブルク
(8位)オーストラリア
・・・
(21位)アメリカ
(21位)日本
豊かで健康的な食事のヨーロッパ
もっとも豊かで健康的な食事をとっている国は、オランダであることが判明しました。
1位になったオランダは、食料自給率が高く、インフラが整備され食品の供給体制がしっかりしており、物価も低い点などが評価されています。
ランキングの上位は欧州諸国に独占されており、2位はフランスとスイス、4位にデンマーク、スウェーデン、オーストリア、ベルギーとなっています。
欧州以外では、オーストラリアがベスト10位以内に入りました。
豊かで健康的な食事の評価基準
評価するための2つの測定基準を使用して、世界中の消費者に対する4つの主要な懸念の度合いを調べています。
- 人々が食べるのに十分な量があるか?
- 栄養不足(FAO)
- 低体重の子供(WHO)
- 人々が食べるのに余裕があるか?
- 他の商品やサービスと比較した食料価格水準(FAO)
- 食料価格の不安定さ(ILO)
- 良質の食べ物か?
- 食事(ダイエット)の多様化(FAO)
- 清潔で安全な水が得られる(FAO)
- 人々は食事によって健康であるか?
- 糖尿病(WHO)
- 肥満(WHO)
食糧農業機構(FAO)、世界保健機関(WHO)、国際労働機関(ILO)の最新の利用可能なデータソースより採点しました。
調査したオックスファムは、貧困と不正を根絶するための持続的な支援・活動を、世界90ヵ国以上で活動するNPO活動団体です。
日本は肥満と糖尿病が少ない
日本は21位にランキングされました。
ランキング上位30カ国の内で、日本は「肥満」に対する評価が最高でした。
「糖尿病」に対する評価も5番目と高く評価されています。
同21位のアメリカは、ランキング上位30カ国の内で、肥満に対する評価、糖尿病に対する評価ともに、最低の評価(肥満と糖尿病が最も多い)となっています。
日本は食品の物価が高く、種類のバランスが悪い
日本の評価を落としたのは、「食品の物価」、「食事(ダイエット)の多様化・食品の種類のバランス」で、ランキング上位30カ国の内で最低の評価でした。
特に「食品の物価」は飛び抜けて評価が低くなっています。
逆にアメリカは、ランキング上位30カ国の内で「食品の物価」は2番目、「食事(ダイエット)の多様化・食品の種類のバランス」は3番目の高評価となっています。
食生活の変化によるリスク
外食の増加や食生活の欧米化により、和食離れが進んでいますが、肥満と糖尿病になるリスクは上昇します。
長寿崩壊の沖縄
沖縄県は長寿として、世界的にも有名です。現在でも昔ながらの食生活をしている地域は、非常に長寿です。
しかしながら沖縄県としては、平均寿命ランキングで下がり続けています。
女性は1975年から2005年までずっと1位でしたが、2015年には7位となりました。
男性は2015年には過去最低の36位まで下がってしまい、もはや下位グループに入っています。
沖縄の特に若い世代で、全国に比べ循環器系疾患が増加しています。食生活の大きな変化が影響していると考えられます。
アメリカ軍占領下の1960年ごろ、肉の加工品などが海外から大量にもたらされました。
野菜や芋類中心だった食生活は、肉類の多い食事へと大きく様変わりしました。
その結果、県民の摂取カロリーに占める脂肪の割合は急激に上昇。
沖縄県では、成人男性の2人に1人が、肥満であるという報告もあります。
全国平均で3人に1人であることと比べると明らかに多くなっています。
和食と欧米食のバランス
食の多様化により、高脂肪・高カロリーの食事が増えています。
世界でも認められた健康食の和食を、日々の食卓に取り入れていきましょう。
世界から注目される和食の魅力
旬がある
季節により様々な野菜や果物を食べることができます。
年中収穫している野菜でも、旬の時期ではたくさん収穫できて、おいしく、栄養も豊富になります。
植物性の食材
根っこ、茎、葉っぱ、果物、山菜、キノコ、豆、海藻、穀物など、限りなく菜食。
ミネラルやビタミン、食物繊維が多く、体にいいです。
肉は本来、ほとんど食べることなく、魚介類を少々食べます。
豊富な発酵食品
みそ汁や納豆、醤油、甘酒、漬物、日本酒など、大豆や野菜、米を発酵させた、植物性の発酵食品が豊富です。
健康に役立つ発酵パワーは、栄養が増えるだけでなく、腸内環境の改善にも役立ちます。
出汁(だし)のうま味
昆布や鰹節、シイタケなどを煮て出した、和食で使われる様々な出汁の「うま味」。
酸味・甘味・塩味・苦味の四つの基本味に加わる、第五の基本味として、料理中の塩分を減らし、高血圧や生活習慣病の予防に役立てることができます。