飲料水かコーヒーを飲むとやせる
飲料を飲む量が増えた場合に、長期的に体重がどのように変化するか、様々な飲料について調べました。
結果、飲料水とコーヒー、ダイエット飲料は、体重が減少して、糖甘味飲料とフルーツジュースは、体重が増加しました。
それぞれ1日1杯増えると、4年間での体重変化はこのようになりました。
- コーヒー:-0.14kg
- 飲料水:-0.13kg
- ダイエット飲料:-0.10kg
- お茶・紅茶:-0.03kg
- 低脂肪牛乳:0.02kg
- 牛乳(全乳):0.02kg
- フルーツジュース:0.22kg
- 糖甘味飲料(SSB):0.36kg
飲料水の飲む量を長期的に増やすことにより、体重を減らすダイエット効果があります。
飲料水は熱産生を誘発し、代謝率を高める可能性があることが研究により示されています。
飲料の摂取量の変化と体重の変化
水と飲料の摂取量の変化と、長期的な体重の変化との関係を調査しました。
参加者への食品頻度アンケートにより、各4年間隔内の飲料摂取量、および他の生活習慣の変化と、体重変化の関連性を推定しました。
対象:
調査開始時に肥満や慢性疾患ではないアメリカ人の男女
- 看護師健康調査(NHS)の女性50,013人
(年齢:40~64歳)
(追跡期間:1986年~2006年)
- 看護師健康調査II(NHS II)の女性52,987人
(年齢:27~44歳)
(追跡期間:1991年~2007年)
- 医療従事者追跡調査(HPFS)の男性21,988人
(年齢:40~64歳)
(追跡期間:1986年~2006年)
分析:
3つの独立した調査データより、4年間隔で、飲料摂取量および他の生活様式の行動の変化とともに、体重の変化との関連を調べました。
調査結果:
参加者は各4年間で平均1.45kg(-1.87~5.46)体重が増えました。
年齢、ベースライン肥満度指数、その他の生活習慣の変化(食事、喫煙習慣、運動、アルコール、睡眠時間、テレビ視聴)をコントロールした後、
1日1カップの各飲料の摂取量の増加と、各4年間の体重増加は、水(-0.13kg)、コーヒー(-0.14kg)、お茶(-0.03kg)、ダイエット飲料(-0.10kg)、低脂肪牛乳(0.02kg)、牛乳(0.02kg)、フルーツジュース(0.22kg)、糖甘味飲料(0.36kg)となりました。
飲料1日1杯の増加と4年間の体重変化
飲料 |
体重変化 (kg) |
95%信頼区間 (kg) |
水 |
-0.13 |
-0.17~-0.08 |
糖甘味飲料 (SSB) |
+0.36 |
+0.24~+0.48 |
フルーツジュース |
+0.22 |
+0.15~+0.28 |
コーヒー |
-0.14 |
-0.19~-0.09 |
お茶・紅茶 |
-0.03 |
-0.05~-0.01 |
ダイエット飲料 |
-0.10 |
-0.14~-0.06 |
低脂肪牛乳 |
+0.02 |
−0.04~+0.09 |
牛乳(全乳) |
+0.02 |
−0.06~+0.10 |
各飲料の定義
- 水:
水道水、ボトル入りのミネラルウォーターまたは無糖炭酸水
- 糖甘味飲料(SSB):
コーラ、砂糖入り炭酸飲料、砂糖入り飲料、レモネード、フルーツ飲料
- ダイエット飲料:
低カロリーコーラ、その他の低カロリー飲料
- フルーツジュース:
アップルジュース、オレンジジュース、グレープフルーツジュース、その他のジュース
- コーヒー:
カフェイン抜きのコーヒー、カフェイン入りのコーヒー
- 低脂肪牛乳:
スキムミルクまたは低脂肪牛乳
飲料水のダイエット効果
水を飲む量が増加すると、体重が0.13kg減りました。
水道水やボトル入りのミネラルウォーターなど、飲料水を飲むことはダイエット効果があります。
水分を飲む量が増加すると、水分を摂取しない場合と比較して、その容量が胃の膨満感や満腹感を高めて、食べる量が減らせます。
また飲料水は熱産生を誘発し、代謝率を高める可能性があることが、研究により示されています。
糖甘味飲料やフルーツジュースから飲料水に切り替えることは、より肥満予防やダイエットになるだけでなく、糖尿病を発症するリスクが低くなります。
コーヒーのダイエット効果
コーヒーを飲む量が増加すると、体重が0.14kg減りました。
カフェインの摂取量は、基礎エネルギー消費が増加し、交感神経系を経由して熱発生を刺激することが示唆されています。
今回の調査で飲まれていたコーヒーは、カフェイン入りのコーヒーでしたが、カフェイン抜きのコーヒーでも同様のダイエット効果があるという報告もあります。
ダイエット飲料のダイエット効果
ダイエット飲料を飲む量が増加すると、体重が0.14kg減りました。
ダイエット飲料を飲む人は、太りすぎの人に多く、飲んでいた飲み物を、コーラ(糖甘味飲料)からダイエットコーラ(ダイエット飲料)に切り替えるなど、健康志向が高くなったと考えられます。
ダイエット飲料への切り替えはダイエット効果がありますが、カロリー以外の甘味料が体重に与える影響を調べるには、まだもっと多くの研究が必要です。
牛乳のダイエット効果
牛乳では、全乳と低脂肪牛乳ともに飲む量が増加すると、体重が0.02kg増えました。
低脂肪を選択することは体重の変動に関係なく、牛乳を飲む量が増えることも、体重の変動に影響を与えない範囲でした。
牛乳にはダイエット効果がありませんが、飲むと太る糖甘味飲料(SSB)やフルーツジュースの代わりに飲むのであれば、体重を減らすことになります。
お茶・紅茶のダイエット効果
お茶・紅茶を飲む量が増加すると、体重が0.03kg減りました。
体重の変動に影響を与えるとは言えない範囲でした。
緑茶に含まれるカテキンは、濃縮サプリメントの形で摂取されると、脂肪の酸化を増やし、体脂肪を減らし、体重を減らす可能性があることが研究によって示唆されています。
今回の調査は、ほとんどすべてアメリカに住む白人だったこともあり、緑茶の消費レベルが少なく、緑茶カテキンの効果が表れる濃度に達するにはあまりにも低かったと思われます。
日本において緑茶が体重に与える影響を調べるには、もっと多くの研究が必要です。