老化の原因ははっきりとは解明されていませんが、老化の原因とされている説として、プログラム説、活性酸素説、テロメア説、遺伝子修復エラー説、分子間架橋説、免疫機能低下説、ホルモン低下説があります。
あなたは老化と聞くと何を思い浮かべますか?
例えば、次のようなことが起こります。
- 顔にシワやシミが目立つようになる
- 髪の毛が白(透明)になったり、少なくなる
- 近くのものが見えにくくなる
- 耳が遠くなる
- 関節が摩耗して痛くなる
- 物忘れがひどくなる
老化の進み方は人それぞれ違います。
老化には、
- 自然現象である加齢による「生理的老化」
- 病的因子による「病的老化」
があります。
誰もが起こる生理的老化に、病的老化が老化に拍車をかけることで、老化の進み方が変わってきます。
また寿命は、老化による生理機能の低下に大きく関わっています。
では老化の原因は何でしょう?
体が錆びる?
わたしたちは、酸素を呼吸で取り込んで、細胞で体の働きの元となるエネルギーをつくります。
エネルギーと同時に活性酸素もできます。
酸化は、身体を錆びつかせるように、活性酸素が細胞に障害を引き起こすことです。
老化の原因とされるだけではなく、癌や生活習慣病、あらゆる体の不調にもつながっているとされます。
体が焦げる?
体内で起こるタンパク質の糖化反応(メイラード反応)が、老化を進行させます。
メイラード反応は、肉を焼いたり、玉ねぎを炒めると褐色に変わったり、トーストの焼き色がついたりする現象です。
体は、肌、血管、骨など主にタンパク質からできていて、このタンパク質が糖と結びついて、糖化が進むとタンパク質は本来の働きができなくなり、カラダの機能に様々な変化が生じます。
体内で起こる糖化反応により、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、慢性腎不全、アルツハイマー型認知症など悪化させると言われ、活性酸素による体の酸化も加速させます。
炎症は健常状態に回復する(恒常性を正常に維持する)ために起こります。
しかし炎症の進行が緩やかに持続する慢性炎症は、生活習慣病やがんを含む加齢関連疾患に共通する基盤病態となっています。
老化する細胞
人は年をとるにつれて、慢性疾患や、脳卒中、心臓病、がんなどの病気を発症しやすくなる傾向にあります。
これらの原因のひとつに「細胞の老化」が挙げられます。
人の体は、成人で約37兆個の細胞により身体が構成されています。
この細胞の一つひとつの中に、いくつかのミトコンドリアとDNAが収められた核があります。
ミトコンドリアは人が活動するエネルギー(ATP)を作り出していますが、ミトコンドリアは段々と機能が衰えてきます。
ミトコンドリアがエネルギーを作るときに、同時に活性酸素も産出されますが、ミトコンドリアの機能が衰えると活性酸素の産出量が増えていきます。
この活性酸素によりDNAに損傷が起こります。
DNAが損傷すると細胞は分裂しますが、細胞はあらかじめ決められた回数しか分裂できません。
分裂回数の限度を超えると、損傷しても分裂ができなくなります。
分裂の限界回数は細胞によっても異なります。
脳および神経や心筋の細胞などは、最初からほとんど分裂能をもたないため、細胞の破壊によって直接臓器の老化につながります。
その他のほとんどの臓器は、分裂の限界回数が約50回のため、この回数を迎えることにより、臓器が老化します。
皮膚の表皮や小腸の上皮細胞は細胞は、約5000回ほど分裂できると言われています。
テロメラーゼを活性化して細胞を若返らせる
分裂回数を増やす酵素「テロメラーゼ」を活性させることで、細胞の老化を防ぎましょう。
活性化させるポイント
- 野菜中心の食事をする
- 有酸素運動をする
- 十分な睡眠をとる
- ストレスを管理する
- 良好な人間関係をもつ
サーチュイン遺伝子は、長寿遺伝子または長生き遺伝子、抗老化遺伝子とも呼ばれ、体内で重要な役割を担っている酵素です。
誰もが持っている遺伝子で、細胞の損傷を防いだり、筋肉を作り、エネルギー産生に影響を与え、健康を促進します。
さらには、記憶力の向上、血糖値の調整、ガンの発生につながるフリーラジカルを原因とする損傷の除去、老化防止や寿命を伸ばすなどの報告もあります。
ヒトには7種類の長寿遺伝子があり、細胞の中の核やミトコンドリアにある、ヒトでは10番目の染色体に存在しています。
普通の生活では眠っている状態で、活性化することにより生物の寿命が延びるとされています。
サーチュイン遺伝子の活性化で期待される効果
- 脂肪燃焼
- エネルギー産生を高める
- 食欲減退
- 筋肉量の増加
- 免疫力を高める
- 健康増進
- 血糖値・血中脂肪の調整
- 美肌効果
- 薄毛予防効果
- 細胞の損傷を防ぐ
- 心血管疾患の原因防止
- 神経疾患の原因防止
- がんの原因防止
- 記憶力の向上
- 老化防止
- 寿命を伸ばす
微小循環とは、身体の隅々まで血液を循環させる血液の流れです。
全身の細胞へ、生きていくために必要な酸素と栄養素、水分を届け、いらなくなった二酸化炭素や老廃物を運び出します。
つまり細胞にとって不可欠なのです。
身体には太い血管だけでなく、足の先にいたるまで、細かい血管(毛細血管)がびっしり張り巡らされ、その全長はおよそ10万km!
血管内の血液の流れが滞ってしまうと細胞は、酸素と栄養素、水分が足りなくなり、活動できなくなります。
不要な二酸化炭素や老廃物を運び出すこともできません。
血行を良くして全身の血の巡りを良くすること、つまり微小循環が正しく機能することは、体を健康に保つために非常に重要なのです。
しかし毛細血管の劣化によって血液の流れが悪くなり、栄養が運べなくなった部分は細胞が死に、毛細血管が消えてしまいます。
微小循環を良好に保つためにはどうすればいいでしょうか?
Danish Twin Studyと呼ばれる研究によれば、生物学的限界内で平均的なヒトが生きる寿命が遺伝的に決まるのは、わずか10%です。
残りの90%が生活習慣によって決まります。では、どのような生活習慣をすれば長寿となれるのでしょう。
百寿者の特徴
百寿者は体の丈夫さ、生活、性格もそれぞれですが、共通点として多いものがあります。
- 慢性炎症の抑制
- 微小循環が良好
- 血管が柔らかく、しなやかで血管年齢が若い
- 地域の伝統食(穀物、植物性食品、魚介類、海藻類、発酵食品)を食べている
- 腸内細菌の優良菌(善玉菌)の割合が高い
- 食事は腹八分目(食べすぎない)
- 日常生活で負荷の強い身体活動(運動)をしている
- 孤独感を感じていない
- 人生、生きることへの幸福感(満足感)が高い
- ストレスを溜めない
- ストレスを肯定的に受け取る
- 自分の人生を肯定的にとらえる(ポジティブシンキング)
- 生きがいをもっている
食事は、カロリーが非常に低い日本の伝統的な食文化である伝統食「和食」。
一汁三菜を基本に、栄養のバランスが非常に優れている「まごはやさしい」の食材を取り入れましょう。
週末1回だけの運動でも、十分に健康への効果があるという研究結果があります!
週末にまとめて少し高い強度の運動をする人は、全く運動をしない人たちに比べて、死亡リスクが30%低いことが分かりました。
特に心臓血管系の病気による死亡リスクに限ると40%低下しました。
癌に関連する死亡リスクも18%低かったのです。
脳細胞(神経細胞)は大人になっても増える?
答えはYES!
再生に必要な神経幹細胞がないから、増えないと思われていました。
しかし脳の海馬において、成人の脳の新しい神経細胞を生成していることがわかりました。
海馬は、学習や記憶に重要で、気分や感情に関与しています。
この海馬では毎日700個の新しい神経細胞が作られていると推定されています。
100歳以上人口は、48年連続増!
日本において、2018年9月15日時点の100歳以上人口は、6万9785人となりました。
100歳以上人口の増加は48年連続。100歳以上人口は圧倒的に女性が多く、全体の88.1%を占めました。
老人福祉法が制定された1963年には、100歳以上の高齢者は全国で153人でした。
1981年に1000人を突破、1998年に1万人を突破し、その後も右肩上がりに増え続けています。
現在「世界最高齢」および「世界最高齢の女性」は、日本人です。
福岡市在住の116歳の田中 カ子(かね)さん(生誕1903年1月2日)。
「世界最高齢の男性」は、同じく日本人の北海道足寄町在住の113歳、野中 正造さん(生誕1905年7月25日)でしたが、2019年1月20日に亡くなりました(113歳179日没)。
子育ては富よりもさらに寿命を延ばす
オーストリアとポルトガルの研究者らが、イギリスの約20万の国勢調査データを分析して、子どもの誕生といった個人的な環境が寿命に及ぼす影響を調べました。
子どもを持つ、親となった人たちは、
- 感染症、がん、心臓病による死亡するリスク
- 不幸な事態に巻き込まれたり、殺人、自殺によって死亡するリスク
が低いことが明らかにされました。
人の体は、成人で約37兆個の細胞により身体が構成されています。
この細胞一つ一つの中には核が存在していて、染色体と呼ばれるDNAの束が収められています。
染色体の末端部分にあるのがテロメアです。
このテロメアが、老化や病気に関連する健康寿命、そして見た目の若さに大きく影響をしています。