サーチュイン遺伝子は、長寿遺伝子または長生き遺伝子、抗老化遺伝子とも呼ばれ、体内で重要な役割を担っている酵素です。
誰もが持っている遺伝子で、細胞の損傷を防いだり、筋肉を作り、エネルギー産生に影響を与え、健康を促進します。
さらには、記憶力の向上、血糖値の調整、ガンの発生につながるフリーラジカルを原因とする損傷の除去、老化防止や寿命を伸ばすなどの報告もあります。
ヒトには7種類の長寿遺伝子があり、細胞の中の核やミトコンドリアにある、ヒトでは10番目の染色体に存在しています。
普通の生活では眠っている状態で、活性化することにより生物の寿命が延びるとされています。
サーチュイン遺伝子の活性化で期待される効果
- 脂肪燃焼
- エネルギー産生を高める
- 食欲減退
- 筋肉量の増加
- 免疫力を高める
- 健康増進
- 血糖値・血中脂肪の調整
- 美肌効果
- 薄毛予防効果
- 細胞の損傷を防ぐ
- 心血管疾患の原因防止
- 神経疾患の原因防止
- がんの原因防止
- 記憶力の向上
- 老化防止
- 寿命を伸ばす
サーチュイン遺伝子を活性化させる
サーチュイン遺伝子は普段、細胞の中で眠っています。眠っているときは働くことはありません。
サーチュイン遺伝子を働かせるためには、活性化のためのスイッチをオンにする必要があります。
飢餓・カロリー制限
飢餓やカロリー制限により、エネルギーが足りなくなることで、サーチュイン遺伝子を活性化させるスイッチがオンになります。
- 空腹を感じる食事量(腹5分目~8分目)
- カロリー制限
(必要な栄養素はしっかり摂りながら、年齢や生活リズムに応じて、必要なカロリーに抑えた食事を摂る)
- 食事を抜く(間食もしない・胃の中が空の状態)
- 断食
- ファスティング
(最低限のブドウ糖は摂取することで、糖新生により筋肉を壊してしまわないようにする)
運動(筋肉を収縮させる)
運動をして、筋肉を収縮させることで、サーチュイン遺伝子を活性化させるスイッチがオンになります。
ジムに通って激しい運動をする必要はありません。じんわりと汗ばむくらいの運動を、日常生活に取り入れましょう。
ウォーキングよりやや強く、ジョギングよりもやや弱い、ちょっとキツイと感じる運動強度が理想的です。
- インターバル速歩
(「ゆっくり歩く」→「速く歩く」を3分ずつ、交互に5回、繰り返し、全体で30分おこないます)
- お尻歩き
(床に座ってひざを軽く曲げてクッションなどをはさみ、お尻を交互に動かして、クッションが落ちないように前へ10歩、後ろへ10歩と前後に進みます)
レスベラトロール摂取で活性化
赤ワインに多く含まれるポリフェノールの一種、レスベラトロールがサーチュインタンパク質を活性化して、サーチュイン遺伝子をオンにする働きがあると報告されています。
ハーバード大学で行われたマウス実験
高カロリー食を与えたマウスと、高カロリー食にレスベラトロールを加えて与えたマウスの、寿命を比較した実験が、2006年におこなわれました。
結果、レスベラトロールを与えたマウスは
死亡率が20%も低かったといいます。
ただし、実験に使われたレスベラトロールの投与量は、1日でボトル100本前後の赤ワインに含まれる量になり、赤ワインでサーチュイン遺伝子を活性化するのは非現実的です。
植物に含まれているサーチュイン活性化物質
サーチュイン活性化物質はあらゆる植物に含まれていますが、効果を得られるほどに豊富に含む食材はごく一部です。
サートフード
サーチュイン(Sirtuin)を活性化するレスベラトロールなど、ポリフェノール物質を多く含む食べ物のことを、サートフード(Sirt food)と言います。
サーチュイン活性化物質が豊富なサートフード
- ラベージ
- ケール
- パセリ
- セロリ
- ルッコラ
- オリーブ(実、エクストラ・ヴァージン・オリーブオイル)
- タマネギ
- ケッパー
- ウコン
- 唐辛子
- りんご
- イチゴ
- レモン
- ブルーベリー
- カカオ(ココア、カカオ80%以上のダークチョコレート)
- 赤ワイン
- クルミ
- ブラックコーヒー
- 緑茶(特に抹茶)
- 味噌汁
- 大豆食品(納豆、豆腐など)
少量ですがサーチュイン活性化物質が含まれている食品
7種類のサーチュイン遺伝子
ヒトでは現在、サーチュイン遺伝子は、SIRT1タンパク質からSIRT7タンパク質までの7種類が存在することがわかっています。
SIRT1~7で、それぞれ働きや存在する場所が異なります。その中でも注目されているのが「SIRT6」。
SIRT6は、細胞内の核に存在していて、様々な生命現象や疾患に関わります。
DNA修復、テロメア維持、解糖および炎症などに関わり、シワなどの皮膚の老化や、背中が曲がるなど、見た目の老化との関係が深いことがわかってきています。
SIRT6の影響する生命現象や疾患
- ゲノムの安定性
- 免疫
- 糖代謝
- 脂質代謝
- 心血管疾患
- 神経疾患
- がん
- 老化
- 寿命