ランニングは、短時間でも、楽しめる範囲内で、リラックスしながら運動を続ければ、健康増進の効果を得られます。
- 1日たった5分だけの短い時間でもOK
- 週に1回だけでもOK
- 週に合計1時間のランニングでOK
- ゆっくりと走るスロージョギングでOK
この簡単なランニングで、まったく走らない人に比べ、心臓疾患や死亡のリスクを3~5割軽減することができることが、5万人を超える15年間の調査で明らかになりました。
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ランニングは、短時間でも、楽しめる範囲内で、リラックスしながら運動を続ければ、健康増進の効果を得られます。
この簡単なランニングで、まったく走らない人に比べ、心臓疾患や死亡のリスクを3~5割軽減することができることが、5万人を超える15年間の調査で明らかになりました。
1日に5~10分という短い時間でも、時速6マイル(9.65㎞)以下というスロージョギングでもOK。
ランニングの習慣がある人は、全くランニングしない人に比べて死亡リスクが3割低いという研究結果が出ました。
アイオワ州立大学の運動生理学ダック・チュル・リー教授の研究チームによる研究結果を、米国心臓財団が発行する医学誌に2014年に発表しました。
対象:
米国で「エアロビクスセンター縦断調査」(ACLS)に参加した18~100歳の5万5,137人の男女(平均年齢は44歳)
調査:
ランニングの習慣についてアンケート調査をおこない、テキサス州ダラスにあるクーパークリニックでおこなわれた医学検査と体力検査のデータを調査し、15年にわたり追跡して調査しました。
対象者の約24%が余暇の運動にランニングを取り入れていました。
追跡期間中に、3413人が死亡、うち1217人が心血管疾患に関連する死亡でした。
結果:
ランニングしない人に比べ、ランニング習慣のある人は、
すべての死因による死亡リスクが30%低く、心血管疾患(心臓病・脳卒中)による死亡リスクに限れば45%も低かったのです。
これはランニングを全くしないのに比べて、寿命が約3年延びたことに相当する計算になります。
さらに、走る時間や速度が違っても、同様の効果を期待できることも明らかになりました。
走る時間が週51分未満の人と、週176分以上の人を比べた場合でも、リスク軽減に関する結果に、統計的な大きな違いはみられませんでした。
いずれの場合でも、
ランニングを全くしないのに比べて
という結果となりました。
さらに性別、年齢、太りすぎ、健康状態、喫煙や飲酒の習慣があるなしにかかわらず、効果が一貫していました。
週に1時間未満のランニングには、
週に3時間以上のウォーキングと
同等の効果があったといいます。
健康を損なう最大の原因は、何も運動をしないことです。運動不足がもたらすリスクは高血圧にも匹敵します。
「運動する習慣がないという人は、はじめのうちは短い時間でも良いので、今日から運動に取り組んでください」と、リー博士は強調しています。
「ランニングが寿命を延ばすとして、たとえば1年長生きするのに1年分の運動をしなければならないなら、寿命はプラスにはならないのではないか」という疑問の声もありました。
2017年に発表された再検証された研究結果によると、
「1時間のランニングで、7時間寿命が延びる」
という結果が出ました。
ヘルス関連誌『Progress in Cardiovascular Disease(心臓血管疾病における進歩)』で、2017年に研究結果が発表されました。
アイオワ州立大学に属するリー博士は、テキサス州ダラスにあるクーパークリニックでおこなわれた医学検査と体力検査の結果を再検証して、ランニングの効用を突き止めました。
クーパー研究所によると、ランナーが走る平均時間は週2時間で、この場合、平均的なランナーは約40年間に6カ月未満の長さを走ると推計されます。
それによって寿命が延びる可能性は、平均3.2年になります。およそ2.8年分プラスになることになります。
つまり統計的には、1時間のランニングで7時間寿命が延びるということになるのです。
1時間のランニングで7時間寿命が延びるということは、ランニングを続けることで寿命の延ばし続けることができるのか?
当然ながら、無限ではありません。
平均で3年ほど長く生きられることは、研究結果から導き出せます。
しかし、どれだけたくさん走っても、寿命がそれ以上に延びることはありません。
長時間走るランナーたちの中には、
「走りすぎると逆効果になり、早死ににつながるのではないか」
という疑問を抱く人もいました。
週に約4時間のランニングで寿命が延びるのは頭打ちになりますが、それ以上の長さのランニングで延びが低下することはありません。
「長時間のランニングが逆効果を及ぼすことはなさそうだ」としています。
研究チームによるとこの結果から、分析した調査の被験者のうちランニングをしていない人がランニングを始めた場合、
の効果があると考えられるといいます。
ジョギングのスピード、距離、頻度のみならず、喫煙や飲酒の習慣があったり、太りすぎでも、ランニングをする人は、ランニングをしない人に比べて、早死にのリスクを約40%低下させることがわかりました。
肥満、糖尿病などの危険要因をもった人々であっても、ランニングを少しずつ毎日おこなうことで、心臓病などのリスクを低く抑えることができることが示されました。
ただし、2型糖尿病の人は比較的、高齢者が多くなります。高齢になると、若者に比べると筋力は低下していくため、強度は弱くても継続したトレーニングを続けることが必要です。
「歩き始めはゆっくりと、徐々に速度を上げていき、その後ジョギングへ。体調が良くない日は無理しないように」と研究者はアドバイスしています。
2型糖尿病の人は年齢、罹病期間が長くなるので心臓病、高血圧、脂質異常症などが合併するケースが増えます。
運動を始める前に主治医と相談して、必要な検査を受けることも重要です。
一方、ランニング以外の運動も寿命を延ばすのに確かに有効ですが、ランニングほどの効果はないと研究者らは指摘しています。
ウォーキングやサイクリングなどその他の運動は、早死にのリスクを約12%低下させるといいます。
今回の研究結果では、ランニングをする人は長く生きる傾向があることを証明するものです。
ランニングをするが直接的に寿命を延ばすことを示しているわけではありません。
ランナーはまた、概して健康的な生活を送っており、彼らのライフスタイルそのものが、死亡率に対して非常に大きな効果を及ぼしている可能性もある、と指摘しています。
しかし、それを考慮しても、今回の研究によって、ランニングが私たちの寿命を数年延ばす可能性があることが示された、とリー博士は言います。