断食(だんじき)とは、全てまたは一部の食べ物や飲み物を一定期間断つ(食べない)ことです。
断食は英語でFasting(ファスティング)ですが、一般に同じ意味としてではなく、
断食:
水だけを摂取して、他の食べ物・飲み物を断つとき
ファスティング:
酵素ドリンク・野菜スムージー・フルーツジュースなどの特定の飲み物を摂取して、食べ物を断つとき
に使われることが多いです。
医療行為や民間医療として、病気を治療するために断食をおこなうときには、「絶食」という呼び方が使われることも多く、絶食療法と呼ばれます。
断食は心身を治す
断食は何世紀も前から、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教、仏教などで、身体清浄など宗教的、または精神鍛練など精神的な理由でおこなわれてきました。
世界各地の多くの文化においても、治療面での効果から、心身の健康や病気の治療を目的におこなわれてきました。
ドイツでは
「断食で治らない病気は、他のどんな治療でも治らない」
フランスでは
「断食は、メスを使わない手術である」
と言われているくらい、断食は病気の治療としての効果が期待されています。
日本では断食行として、また難病根治を目的として、1000年以上も前からおこなわれてきました。
そして2000年以上前の時代、、
西洋医学の基礎を築き上げ、医学を発展させた「医学の父」と呼ばれる、古代ギリシャの医者ヒポクラテス(紀元前460年頃~370年頃)は、書き残しています。
- 月に一度、断食をすれば
病気にならない
- 汝の食事を薬とし、
汝の薬は食事とせよ
- 病人に食べさせると、
病気を養う事になる。
一方、食事を与えなければ、
病気は早く治る
- 私たちの内にある自然治癒力こそ
真に病を治すものである
- すべての病気は腸から始まる
ヒポクラテスの説いている
- 食べ過ぎの害
- 腸(腸内環境)と排泄が重要
- 断食(食事をしないこと)により
自然治癒力を高めて病気を治す
といった内容は、現代でも健康になるための参考になりますね。
ソクラテス、プラトン、アリストテレス、ピタゴラス、ブッダ、エジソン、ガンジー、二宮尊徳(二宮金次郎)などが断食を実践していました。
絶食療法(断食療法)の適応症
- 心身症
- 神経症
- 動揺性高血圧
- 過敏性大腸症候群
- 慢性胃炎
- 過呼吸症候群
- 心因性気管支喘息
などのほか、
- 肥満症
- メニエール症候群
- 更年期障害
- 自律神経失調症
など、多くの疾患や症状の改善が期待できます。
ロシアでは精神病患者に、欧米では肥満症の治療に用いられています。
断食の種類
- 絶食:
医療行為としての断食
- ファスティング:
酵素ドリンクなど特定の飲み物を摂取しておこなう断食
- 絶食療法・断食療法:
病気を治療するための医療行為や民間医療としておこなう断食
ファスティング(fasting)
ファスティングは一般に、食べ物を絶ち、酵素ドリンクや野菜スムージー、フルーツジュースなどの特定の飲み物のみを摂取します。
デトックスやダイエット、体質改善を目的におこなわれることが多いです。
断食の効果
断食は、消化器系や心臓、血管系の疾患、リウマチ、神経痛、糖尿病の改善など、体の治癒力を高めることにより、幅広い効果が期待できます。
病気の治療の他にも
などの効果が期待できます。
科学的には、細胞レベルおよび分子レベルで、いくつかのことが体に起こります。
- 傷んだ細胞を修復する
- 成長ホルモンの分泌を高める
- 長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)がオンになる
- 慢性的な炎症を抑える
- インスリン抵抗性を改善させる
- 血圧を正常値に下げる
- 血中トリグリセリド(中性脂肪)、総コレステロール、LDL(悪玉)コレステロールのレベルを下げる
- 脳ホルモンBDNF(脳由来神経栄養因子)を増加させ、新しい神経細胞の成長を助ける
断食の期間
断食・絶食をおこなう期間は決まっていません。
短い期間のプチ断食や、週末におこなう週末断食、本格的に体質改善を目指す5日間以上の断食など、やり方により違ってきます。
長時間の断食をするには、準備期間と回復期間が必要です。
- 準備期間(絶食に備える期間)
- 絶食期間
- 回復期間(常食に戻るための移行期間)
断食の方法
さまざまな種類の断食があります。あなたのライフスタイルに合った方法でおこないましょう。
- 水断食:
一定期間、水しか飲みません
- ジュース・ファスティング:
野菜ジュースかフルーツジュースのみを一定期間みます
- 断続的な断食:
隔日の断食(断食と通常の食事を1日おきにおこなう)
毎日12時間以上の空腹時間をつくる(1日1食のみなど)
- 部分絶食:
加工食品、動物性食品、カフェインなどの特定の飲食物は、一定期間、食事から除外する
- カロリー制限:
一定期間、1日の総カロリー量を制限する
安全性と副作用
断食における健康上のメリットは大きいですが、誰にとっても恩恵を受けることができるわけではありません。
断食は、高齢者(60歳以上)、子供(10歳以下)、成長期、低体重の人は、一般に推奨されません。
薬を飲んでいたり、病気がある場合には、医師に相談することをお勧めします。
糖尿病や低血糖を罹っていると、空腹時に血糖値が急上昇する可能性があり、危険です。
以下に該当する場合は、医師に相談してください。
- 糖尿病
- 血糖値の調節に問題がある
- 血圧が低い
- 薬を服用している
- 過体重
- 摂食障害になったことがある
- 妊娠しようとしている女性
- 月経がこなかったことがある女性
- 妊娠中または授乳中
以下に該当する場合はリスクが高いため、自己判断でおこなわないでください。
- 脳血管障害
- 心筋梗塞
- 心不全
- 腎不全
- 悪性腫瘍(しゅよう)
- 潰瘍(かいよう)