30年にわたり10万以上の人を調査したアメリカの大規模な研究から、ナッツの摂取量が多い人ほど、死亡率が低いことがわかりました。
ナッツを週1回未満しか食べない人でも、まったく食べない人に比べれば、死亡率は7%低くなり、ナッツを毎日食べる人は死亡率が20%も低くなりました。
また、ナッツを食べる人は細身であることがわかりました。
あなただけのストーリーをデザインする道具箱
30年にわたり10万以上の人を調査したアメリカの大規模な研究から、ナッツの摂取量が多い人ほど、死亡率が低いことがわかりました。
ナッツを週1回未満しか食べない人でも、まったく食べない人に比べれば、死亡率は7%低くなり、ナッツを毎日食べる人は死亡率が20%も低くなりました。
また、ナッツを食べる人は細身であることがわかりました。
調査では、1人分1オンス(約28g)のナッツをどのくらいの頻度で摂取したかを答えました。
ナッツ28gは、ほんの1つかみ程度の量。小柄な女性の手のひらに十分に載るくらいの量です。
ナッツを食べるのが週に1回未満の人の死亡率は7%、週に1回の人は11%、週に2~4回の人は13%、週に5~6回の人は15%、週に7回以上の人は20%低下しました。
回数(週) | 死亡率 |
7回以上 | -20% |
5~6回 | -15% |
2~4回 | -13% |
1回 | -11% |
1回未満 | -7% |
心臓病による死亡率は29%低下しました。
癌による死亡率は11%低下しました。
ナッツを食べる習慣のあった人は、なかった人よりも細身であることがわかりました。
ナッツを多く食べると肥満になると広く信じられている懸念を軽減する試験結果となりました。
ナッツは脂肪分が多く、カロリーが高いので、食べると太るというイメージをあるかもしれません。
ナッツに含まれる脂肪分は、肉などに含まれている飽和脂肪酸と違って、健康効果の高い不飽和脂肪酸です。
また、ナッツには熱産生を上げる、食事をすることによる消費エネルギーを上げる効果があります。
アメリカで12万人以上の男女を対象に、13年~20年間の生活習慣の変化と体重変化との関連を調査した研究では、ナッツの摂取量が増加すると体重は減りました。
(Changes in Diet and Lifestyle and Long-Term Weight Gain in Women and Men
N Engl J Med 2011; 364:2392-2404)
特定のナッツに限らず、どの種類のナッツでも死亡リスクを下げるようです。
死亡率の低下は、以下のナッツで同程度の効果がありました。
ナッツには、ビタミン、ミネラルだけでなく、野菜・フルーツと同じくファイトケミカルが含まれています。
正確な生物学的メカニズムは、現時点ではわかっていません。
しかし種類によらず、ナッツを食べる人は寿命がより長く、また食べる量が多いほど寿命は長いという結果が出ました。
過去に実施された複数の試験で、ナッツの摂取を増やすと
などの病気のリスク低下に関連のあることが明らかになっています。
また、ナッツを多く摂取すると、
の低下に関連することが確認されています。
小規模な試験の中には、食事の中でナッツを増やすと特定集団の死亡率低下に関連のあることを明らかにしたものもあります。
しかし、過去に実施した試験で、30年にわたり追跡してナッツの摂取量および大規模集団の全死亡率を詳細に調査したものはありませんでした。
ダナ・ファーバーがん研究所が、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院およびハーバード大学 公衆衛生大学院と共同で、今回の新しい研究をおこないました。
研究チームは食事、その他の生活要因、さまざまな健康転帰に関するデータを収集している2つの著名な継続中の観察研究(Nurses' Health StudyとHealth Professionals' Follow-up Study)のデータベースを利用して分析しました。
Nurses' Health Study:
アメリカで女性看護師を対象に、1980年から2010年に30年かけて収集された76,464人の健康調査データ。
Health Professionals' Follow-up Study:
アメリカで男性医療従事者を対象に、1986年から2010年に24年かけて収集された42,498人の健康調査データ。
これらの試験参加者には、2年から4年ごとに食事に関する詳細なアンケートが実施されました。
毎回実施するアンケートに参加者は、1人分1オンス(約28g)のナッツをどのくらいの頻度で摂取したかを答えました。
自動販売機のピーナッツの小袋の分量は、通常1オンス(1つかみのナッツの量)。
死亡率の有効性を説明する可能性のある他要因を除外するため、最新のデータ分析方法が採用されました。
例えば、研究チームはナッツをよく食べた人は、引き締まった体をしていて、あまり喫煙もせず、運動をする傾向があり、マルチビタミン・サプリメントを使用し、果物や野菜をよく食べ、アルコールをよく飲むことを明らかにしました。
しかし、分析でナッツと死亡率の関連は、これら他要因と切り離すことが可能となりました。
これらすべての分析で、ナッツを食べれば食べるほど、30年間の追跡において、死亡率がより低下する傾向がありました。
ナッツを食べるのが週に1回未満の人の死亡率は7%、週に1回の人は11%、週に2~4回の人は13%、週に5~6回の人は15%、週に7回以上の人は20%低下しました。
がん、心臓疾患、呼吸器疾患による死亡率に大幅な低下が認められたほか、ほぼすべての分類で死亡率は低くなりました。
研究チームは、このような大規模試験では原因と効果を確実に証明することは不可能であると強調しています。
しかし、たとえそうであっても、試験結果は「ナッツの摂取が慢性病の多くに健康上の効果があることを裏づける観察試験および臨床試験の現存する大量のデータ」と非常に一致します。
ロマ・リンダ大学によるセブンスデー・アドベンチスト研究は、当初の心臓研究の継続研究として、男女3万4192人を12年にわたり追跡しました。
2001年に『アーカイブズ・オブ・インターナル・メディシン』に発表された結果は、「ナッツの常食には平均余命を1.5~2.5年延ばす効果があった」と結論づけています。
米国食品医薬品局は、2003年に過去の試験にもとづき、1日1.5オンスのナッツを食べると心臓病のリスクが低減すると結論を出しました。