どのような食事をすれば、ダイエットが長期的に成功するのか。
特定の食事と長期的な体重の変化との関連を調べる、大規模な研究しました。
最大20年にわたり、肥満ではない男女10万以上のアメリカ人を対象に、肥満を予防するための食事と生活習慣を調査しました。
結果、精製穀物、肉、揚げ物などの食事が、体重を増やすことがわかりました。
また、おやつに定番のポテトチップス、お菓子やデザート、砂糖が入った飲み物も、体重の増加と関連していました。
全粒穀物、果物、野菜、ナッツ、ヨーグルトの摂取は、体重を減らしました。
この中でも最も体重が減少したのは、ヨーグルトでした。
ヨーグルトがダイエットに効果的
慢性疾患がなく、肥満ではないアメリカ人の男女120,877人を対象に、食事の変化と体重変化の関連を、4年間隔で調査しました。
3つの独立した調査データ(追跡期間はそれぞれ、1986~2006年、1991~2003年、1986~2006年)から、メタ解析をおこないました。
各食事成分の1日の摂取量の増加に基づく4年間の体重変化
調査の結果、被験者の体重は4年ごとに平均1.52kg増加しました。
ポテトチップス(0.77kg)、ジャガイモ(0.58kg)、砂糖入り飲料(0.45kg)、未加工の赤身肉(0.43kg)、加工肉(0.42kg)の摂取量の増加が、体重の増加に強い相関がありました。
野菜(-0.10kg)、全粒穀物(-0.17kg)、果物(-0.22kg)、ナッツ(-0.26kg)、ヨーグルト(-0.37kg)の摂取量の増加が、体重の増加に逆相関がありました。
今回の研究は、肥満ではない人を対象に調査したため、肥満の人を対象にした調査に比べて、体重の増減が小さくなっています。
摂取量の増加による体重変化
食事成分の増加 |
体重変化 (kg) |
ポテトチップス |
0.77 |
ジャガイモ |
0.58 |
砂糖入り飲料 |
0.45 |
未加工の赤身肉 |
0.43 |
加工肉 |
0.42 |
野菜 |
-0.10 |
全粒穀物 |
-0.17 |
果物 |
-0.22 |
ナッツ |
-0.26 |
ヨーグルト |
-0.37 |
総合的な食事の変化が、体重の変化に関連していました。(食事の変化の全五分位群を通じて1.73kg)
アメリカでの調査のため、食事成分はアメリカでよく食べられているものが項目となります。
アメリカ人は一般的に、ハンバーガーやホットドッグ、ステーキ、ピザ、フライドポテト、チーズなど乳製品、ポテトチップス、コーラなど炭酸飲料、甘いデザートやアイスクリームをよく食べています。
しかし今回の結果から、ジャガイモや肉、甘いジュースを食べたり、飲んだりする割合が増えれば、太りやすくなることがわかります。
そして、ダイエットに取り入れたいのは、ヨーグルト、ナッツ、果物、全粒穀物、野菜です。
また、ダイエットには、野菜を食べるよりも、果物やナッツ、そしてヨーグルトを食べたほうが成功しそうです。
生活習慣の変化による体重増加
生活習慣の変化と体重の変化との関連も調べました。
体重の変化は、身体活動の大幅な増加は-0.80kg、飲酒量の増加(1日1杯あたり)+0.19kg、テレビを見るのに費やされた時間の増加(1日1時間あたり)+0.14kgでした。
一度も喫煙したことのない人と比較して、過去4年以内に禁煙した人の体重増加は2.35kg、その後の元喫煙者の体重増加は0.06kgでした。
睡眠時間は、体重増加とU字型の関連性を示し、一晩あたりの睡眠時間が6時間未満または8時間超で、より大きく体重が増加しました。
生活習慣の変化による体重変化
生活習慣の増加因子 |
体重変化 (kg) |
身体活動が大幅に増加 |
-0.80 |
飲酒 (1日1杯あたり) |
0.19 |
禁煙 (新規禁煙者) |
2.35 |
禁煙継続 (過去喫煙者) |
0.06 |
テレビ視聴 (1日1時間あたり) |
0.14 |
睡眠不足(6時間未満) 睡眠過多(8時間以上) |
U字型 |
身体活動を含む生活習慣の変化も、長期的な体重増加に関連していました。
食事と生活習慣の変化と長期的な体重増加
肥満を予防するためのライフスタイルを、チャニング研究所、ブリガム女性病院、ハーバード大学医学部が調査しました。
特定の食事と生活習慣が体重増加に影響するのか、長期間にわたり研究しました。
対象:
慢性疾患がなく、肥満ではないアメリカ人の男女120,877人
※高齢者(65歳に達した後)は除外
3つの独立した調査データより、対象者に該当しない人を除外しました。
- 看護師健康調査(NHS)の女性50,422人
(平均年齢:52.2±7.2歳)
(追跡期間:1986~2006年の20年)
- 看護師健康調査II(NHS II)の女性47,898人
(平均年齢:37.5±4.1歳)
(追跡期間:1991~2003年の12年)
- 医療従事者追跡調査(HPFS)の男性22,557人
(平均年齢:50.8±7.5歳)
(追跡期間:1986~2006年の20年)
分析:
4年間隔で、食事と生活習慣の変化と体重の変化との関連を評価しました。
(生活習慣因子の変化と体重変化との関連を、年齢、各期間のベースラインの体格指数(BMI)、すべての生活習慣因子について同時に多変量補正し、4年間隔で評価しました)
結果:
4年ごとの被験者の体重増加
- NHS(女性):1.06kg
- NHS II(女性):2.38kg
- HPFS(男性):0.74kg
全体の平均体重増加量は4年ごとに1.52kg、体重の2.4%の増加でした。
この変化は、20年間で7.62kgの体重増加に相当します。
食事内容と体重の増減
食事1日1食分あたりの摂取量の増加と体重変化。
- じゃがいも(0.58kg)
- フライドポテト(1.52kg)
- ポテトチップス(0.77kg)
- ゆでる・焼く・マッシュポテト(0.26kg)
- 肉
- 未加工の赤身肉(0.43kg)
- 加工肉(0.42kg)
- 穀物
- 精製穀物(0.18kg)
- 全粒穀物(-0.17kg)
- 揚げ物
- 家庭での揚げ物(0.22kg)
- 外食での揚げ物(0.24kg)
- トランス脂肪(0.65kg)
- 乳製品
- 全脂肪乳製品(0.11kg)
- 低脂肪乳製品(-0.28kg)
- バター(0.17kg)
- チーズ(0.06kg)
- ヨーグルト(-0.37kg)
- 野菜(-0.10kg)
- 果物(-0.22kg)
- ナッツ(-0.26kg)
- お菓子(スイーツ)・デザート(0.19kg)
- 飲料
- 砂糖入り飲料(0.45kg)
- 100%フルーツジュース(0.09kg)
- ダイエットソーダ(-0.05kg)
- 牛乳全脂肪牛乳(0.04kg)
- 低脂肪牛乳・無脂肪牛乳(-0.01kg)
太りやすい食事成分
精製穀物、脂肪、糖分が多い食品を食べると、体重が増える可能性が高いです。
精製穀物から全粒穀物に変えると痩せる
精製穀物を食べる量の増加は、体重が0.18kg増加したのに対して、全粒穀物を食べる量の増加は、体重が0.17kg減少しました。
精製された穀物から全粒の穀物を食べるようにすると体重が減る可能性が高いです。
例えば、白米を玄米にすると、ダイエットに効果がありそうです。
ジャガイモは料理によっては非常に太りやすい
ジャガイモを食べる量の増加は、体重が+0.58kgと、精製穀物+0.18kgと比べて3倍以上で、かなり太りやすいと言えます。
茹でる(肉じゃが)、焼く(じゃがバター)、マッシュポテト、ポテトサラダなどでは+0.26kgに対して、ポテトチップスで+0.77kg、フライドポテトでは+1.52kgと高い数値となります。
ジャガイモとトランス脂肪酸の組み合わせが、太らせる原因と考えられます。ダイエットの大敵となります。
ナッツはダイエットに効果的
ナッツは脂肪分が多いのですが、ナッツの摂取量の増加に対して0.26kgの体重減少と、野菜(0.10kgの体重減少)や果物(0.22kgの体重減少)と比較しても、ダイエットに効果がありそうです。
ダイエットに最強の食品は低脂肪ヨーグルト
今回の結果で、最も摂取量が増加すると、体重が減少したのは、0.37kg減少したヨーグルトでした。
次に体重が減少したのは、-0.28kg減少した低脂肪乳製品でした。
この2つの組み合わせで、低脂肪ヨーグルトを食べると、非常にダイエット効果がある可能性が高いです。
フルーツジュースは注意が必要
100%のフルーツジュースは体に良さそうですが、飲む量が増加すると、体重は0.09kgと増加傾向にありました。
フルーツ(果物)の摂取量の増加は、体重が0.22kg減少したので、フルーツはジュースではなく、フルーツのまま摂るようにしましょう。
ダイエットしたい人におすすめの食品
未加工の食品を中心に、体重が減少した食事成分を組み合わせて、料理をするとダイエットに効果的です。
- 全粒穀物
- 野菜
- 果物(フルーツジュースを除く)
- ナッツ
- 低脂肪乳製品
- ヨーグルト
また太りやすい食事成分は極力少なくしましょう。
- 精製穀物
- 肉
- トランス脂肪
- お菓子(スイーツ)
- 砂糖入り飲料
The New England Journal of Medicine
june 23, 2011
Changes in Diet and Lifestyle and Long-Term Weight Gain in Women and Men
Dariush Mozaffarian, M.D., Dr.P.H., Tao Hao, M.P.H., Eric B. Rimm, Sc.D.,
Walter C. Willett, M.D., Dr.P.H., and Frank B. Hu, M.D., Ph.D.