体のエネルギー源として重要な糖質。糖質を摂りすぎると体脂肪として太りますが、糖質が不足すると体はどうなるでしょう?
糖の不足が筋肉を減らす
体から糖が不足すると、生命を維持するのに必要な糖不足を補うために、糖質以外からエネルギー源となるブドウ糖(グルコース)を生産します。この経路を糖新生と呼びます。
ブドウ糖の不足を補うため、食べたタンパク質や体の筋肉を分解してアミノ酸をつくり、糖原性アミノ酸から糖新生が起こります。
太りやすくなる
筋肉の分解により体の筋肉量が減ると、新陳代謝が減り、日々使っているエネルギーの量が減ります。
これは太りやすい体になると言えます。ダイエット後にリバウンドする原因ですね。
また筋肉の役割は体にとって非常に大切です。筋肉を減らすことはできるだけ避けましょう。
では、糖新生をおこさないためにはどうすればよいでしょうか?
糖新生のしくみ
通常は食事から炭水化物(糖質+食物繊維)を摂取して、体内でブドウ糖に変換し、脳や赤血球のエネルギー源として使っています。
ブドウ糖はミトコンドリアを持たない細胞(赤血球や角膜)の唯一のエネルギー源です。
絶食や糖質制限により炭水化物を摂取しなくなると、体内でブドウ糖が作れず、血糖値が低下して、生体にとって致命的な影響を及ぼすことになります。
貯めている糖を利用する
人は日々の活動のエネルギー源として、肝臓と筋肉にグリコーゲンを蓄えています。
血糖値が下がって糖が必要になったときに分泌され、血糖値を一定に保つ作用をするホルモンのグルカゴンが、肝細胞に作用してグリコーゲンの分解を促進します。
絶食後、約1日ですべて血糖(グルコース)となり全身で使い果たされます。
脂肪と筋肉を分解する
グリコーゲンを使い果たした後に、血糖値が低下すると、肝臓中で脂肪酸の分解経が活性化され、肝臓中の脂肪がケトン体に変化して血流中に流出します。
ケトン体は、全身でグルコースに代わるエネルギー源として利用されます。
赤血球は、グルコースが唯一のエネルギー源なので、筋肉が分解されて、糖新生でグルコースを生産します。
脳は通常、ブドウ糖をエネルギー源として使っていますが、低血糖の時にはケトン体も脳のエネルギー源となります。
絶食したときの主なエネルギー源
- 肝臓や筋肉中のグリコーゲンがエネルギー源として使われる
- 肝脂肪を脂肪酸からできるケトン体に変化してエネルギー源として使われる
- 体脂肪や皮下脂肪など肝臓以外の脂肪が血流に乗って肝臓へと運ばれ、ケトン体にしてエネルギー源とする
2と3では、筋肉を分解して、糖新生で赤血球に必要なグルコースを生産します。筋肉が減少することにより、新陳代謝が減少します。
筋肉を壊さないために少しの糖質を
脳はケトン体を主なエネルギー源としても、ある程度のブドウ糖を必要とします。
赤血球と脳が必要とするブドウ糖の量は、健康な成人で1日当たり130~150gとされます。
筋肉を壊したくない(糖新生を起こさせない)なら、毎日130~150gの糖質を摂取しましょう。