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がん予防効果の可能性が高い:デザイナーフーズ

がんを食事により予防するため、1990年にアメリカ国立癌研究所 (NCI) によって、2000万ドルの予算で開始された計画『デザイナーフーズ計画(designer foods project)』。

食品に含まれる化学物質フィトケミカルを特定して、加工食品に加える目的で、研究が開始されました。

野菜、果物、穀類、海藻類、ハーブ、香辛料などの植物性食品に含まれる数万種類のフィトケミカルのうち、約600種のフィトケミカルにがん予防効果の可能性があると判明しました。

その600種類のうちより、がん予防効果の高い食品、および食品成分を約40種類を「デザイナーフーズ(designer foods)」として公開されました。

その後、1993年に予算カットによりデザイナーフーズ計画はなくなりましたが、フィトケミカルの研究は続いています。

そして、アメリカのがん死亡率は、1991年のピーク時から2016年までの25年間にわたり下がり続けています。

デザイナーフーズ(重要度順)

デザイナーフーズ計画によって選定された食品群「デザイナーフーズ(designer foods)」です。


にんにく(ガーリック)

キャベツ、甘草(かんぞう)(リコリス)、
大豆、生姜(ジンジャー)、
セリ科の植物(ニンジン、セロリ、パースニップ)


玉ねぎ(オニオン)、お茶、ウコン(ターメリック)、
玄米、全粒小麦、亜麻、
柑橘類果実(オレンジ、レモン、グレープフルーツ)、
ナス科の植物(トマト、ナス、ピーマン)、
アブラナ科の植物(ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ)


マスクメロン、バジル、タラゴン、
カラスムギ、ハッカ(ミント)、オレガノ、
キュウリ、タイム、アサツキ、
ローズマリー、セージ、
ジャガイモ、大麦、ベリー


デザイナーフーズ計画

植物に天然に含まれる化学物質フィトケミカルは、中国や日本で伝統的な漢方薬として、すでに人気があります。

『デザイナーフーズ計画(designer foods project)』は、植物に含まれる抗がん成分を調査するプロジェクトです。

1990年にアメリカ国立癌研究所 (NCI) によって開始されました。

多くの果物、野菜、穀物、ハーブ、香辛料などに天然に含まれる化学物質フィトケミカルを、食事に加えることによって、食事療法による抗がん能力を高めることを目的に、研究がおこなわれました。

がんのリスクと野菜の摂取

最も多くの果物や野菜を食べるグループの人々が、肺、乳房、前立腺、大腸の癌を含む、多くの一般的な種類の癌による死亡率が、最も低くなっています。

野菜を最も食べる量の少ない日本人が、癌を発症するリスクが最も高いという報告もあります。

がんとフィトケミカル

  • キャベツ・ブロッコリー:
    インドール(エストロゲンを不活性化するため)
  • きゅうり:
    ステロール(コレステロール排泄を高めるため)
  • パセリ:
    ポリアセチレン(有害なプロスタグランジンの合成を阻止し、強力な発がん物質ベンゾピレンを安全化するため)
  • 豆類(特に大豆):
    イソフラボン(癌遺伝子酵素を不活性化するため)
  • ローズマリー:
    キノン(身体に解毒酵素を生成させるため)
ニンニク

ニンニクには硫黄化合物が含まれていて、特定の発がん物質の作用を妨げ、前癌細胞を正常な状態に戻すよう促しています。

中国での研究によると、多くのニンニクを食べた特定の地域の人々は、食道癌を発症する可能性がはるかに小さかったといいます。

緑茶

東アジアで人気のある飲料である緑茶は、発ガン物質の作用を妨げる抗酸化物質が豊富です。

甘草(かんぞう)(リコリス)

甘草(かんぞう)のフィトケミカルは、癌細胞のように急速に分裂する細胞の増殖を妨害します。

腫瘍促進性プロスタグランジンの合成を阻害します。

乳がんや子宮がんを促進するエストロゲンの作用を遮断し、前がん細胞を正常細胞に戻すように誘導します。

フィトケミカルの含有量は

デザイナーフーズ計画は、特定の植物性食品を食べることと、様々な癌のリスクを減らすこととの関連性を見出した、世界中の豊富な研究と観察から生まれました。

二次代謝産物と呼ばれるフィトケミカルは、光合成の補助、発芽の抑制、受粉昆虫の誘引、害虫の除去など、さまざまな方法で植物に役立ちます。

残念ながら、植物中のこれらの化合物の量は通常非常に少なく、栽培されている品種、季節および食品加工の方法などの要因によって、大きく異なる傾向があります。

したがって、あるタイプのキャベツが保護的なインドールを含んでいても、別のタイプのキャベツにはそれほど含まれていないかもしれません。

フィトケミカルの効果は

フィトケミカルは、体内に吸収されないと、消化管で局所的な保護効果がある可能性があります。

吸収されると、体内の他の場所で癌を抑制する生化学的効果がある可能性があります。

食事療法においてフィトケミカルの効果は、有益であるか有害であるかはわかりません。

特定のフィトケミカルが互いに打ち消し合うことがあるかもしれません。

様々なフィトケミカルの正確な代謝的役割と安全性を調べるために動物実験を実施しています。

これらの実験に続いて、健康な人を対象とした安全性試験が行われます。

その後、すでに乳がんを患っている女性のように、ある種のがんを発症するリスクが高いことが知られている人々で予防効果が検証されます。

デザイナーフーズ計画は、1993年に予算カットによりなくなりましたので、このプロジェクトで選定された食品群「デザイナーフーズ(designer foods)」が「がん」の予防になるかはどうかはわかりません。

※現在の研究によると、同じフィトケミカルを摂取しても、人それぞれ起こる反応には、かなりの多様性があることがわかっています。

アメリカのがん死亡率は25年間にわたり減少続く

米国がん協会(ACS)の発表によると、アメリカのがん死亡率は、25年間で27%減少しました。

1991年のピーク時から2016年までの25年間にわたり下がり続けています。

アメリカで1991年にがんで死亡した人の割合は10万人あたり215.1人でした。

この割合は毎年約1.5%下がり、2016年には10万人あたり156人の水準に下がりました。

世界保健機関(WHO)によれと、世界的には、がんにかかる人の数は増えているようです。

WHOが昨年9月に発表した試算では、2018年だけでも、新たにがんと診断される人の数は1810万人にのぼり、がんによる死者数は960万人としています。

がんは世界全体で見た場合、死因の2番目。アメリカでも2番目です。

米疾病対策センター(CDC)のデータで、2017年のアメリカでの死因の上位3つは、心臓疾患、がん、事故もしくは意図しない負傷でした。

2章 食