あなたは老化と聞くと何を思い浮かべますか?
例えば、次のようなことが起こります。
- 顔にシワやシミが目立つようになる
- 髪の毛が白(透明)になったり、少なくなる
- 近くのものが見えにくくなる
- 耳が遠くなる
- 関節が摩耗して痛くなる
- 物忘れがひどくなる
老化の進み方は人それぞれ違います。
老化には、
- 自然現象である加齢による「生理的老化」
- 病的因子による「病的老化」
があります。
誰もが起こる生理的老化に、病的老化が老化に拍車をかけることで、老化の進み方が変わってきます。
また寿命は、老化による生理機能の低下に大きく関わっています。
では老化の原因は何でしょう?
老化の原因に関する仮説
老化の原因ははっきりとは解明されてませんが、老化仮説はいくつかあります。
- プログラム説
- 活性酸素説
- 糖化反応説
- テロメア説
- 遺伝子修復エラー説
- 分子間架橋説
- 免疫機能低下説
- ホルモン低下説
活性酸素説
ミトコンドリアで産生される活性酸素が細胞に障害を引き起こすという説。
代謝率の高い(つまり活性酸素の発生量の多い)生物ほど寿命が短くなる傾向にあることから考えられました。
昆虫や哺乳類の実験で、環境温度が高くなるほど寿命が短く、環境温度が低くなるほど平均寿命、最長寿命ともに伸びるという結果があります。
人間でも3万5000人を対象にした調査で、平熱が高いほど死亡率が高くなるという報告もあります。
また、代謝が上がることで増える活性酸素が、テロメアの短縮に影響しているという説「テロメア説」もあります。
糖化反応説
1971年から1980年のデータで糖尿病患者と日本人一般の平均寿命を比べると男性で約10年、女性では約15年の寿命の短縮が認められた。
このメカニズムとして高血糖が生体のタンパク質を非酵素的に糖化反応を発生させ、タンパク質本来の機能を損うことによって障害が発生する。
この糖化による影響は、コラーゲンや水晶体蛋白クリスタリンなど寿命の長いタンパク質ほど大きな影響を受ける。
例えば白内障は老化によって引き起こされるが、血糖が高い状況ではこの老化現象がより高度に進行することになる。
同様のメカニズムにより動脈硬化も進行する。また、糖化反応により生じたフリーラジカル等により酸化ストレスも増大させる。
テロメア説
成人の体は、約37兆個の細胞で構成されています。
体の細胞の一つひとつは、あらかじめ決められた回数しか分裂できません。
細胞の核にある染色体の両端には、テロメアがあります。
テロメアは、DNAのほつれを防ぐ"キャップ"のような役割をしている、ある特有のDNA塩基配列です。
DNAの分解や修復から染色体を保護し、物理的および遺伝的な安定性を保つ働きをしています。
テロメアは細胞が分裂するたびに複製されますが、完全には複製されず、分裂するたびに短くなります。
ほとんどの臓器の細胞は、50~60回ほど分裂すると、テロメアが限界まで短くなり、それ以上の細胞分裂は不可能となります。
分裂回数に達した細胞は細胞老化となり、臓器が老化します。
脳および神経や心筋の細胞などは、最初からほとんど分裂能をもたないため、細胞の破壊によって直接臓器の老化につながります。