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120歳まで生きられる

2000年以上前に、西洋医学の基礎を築き上げ、医学を発展させた「医学の父」と呼ばれる、古代ギリシャの医者ヒポクラテス（紀元前460年頃～370年頃）は、

『人間がありのままの自然体で
自然の中で生活をすれば
120歳まで生きられる。』

と書き残しています。

日本の百寿者調査

東京都老人総合研究所（現・東京都健康長寿医療センター研究所）の百寿者調査では、
「ヒトの寿命の限界は男性で115歳、女性で122歳」
と推定しています。

日本人の百寿者が亡くなった寿命から、年齢ごとの死亡確率のグラフを作成して、確率が100％になる年齢を推定しました。

「百寿者の多面的検討とその国際比較」広瀬信義ほか（長寿科学総合研究報告書、2002年、p.10-15）

人間の寿命は最長で約115年

米ニューヨークのアルバート・アインシュタイン医科大学の研究者らが、研究成果を英科学誌ネイチャーの2016年10月5日号に発表しました。

研究チームは、世界40か国以上の人間寿命データベースの人口統計データに加え、仏・日・英・米の110歳以上の人たちの死亡件数を研究しました。

その結果、
「100歳超の人たちの寿命が延びるペースが減速しつつあり、少なくとも過去20年の間に最高年齢の水準が一定になりつつある」
ことが分かったといいます。

研究チームのヤン・ファイフ教授は

「105歳以上の人が増えていない。
つまり人間の寿命の限界に近づきつつある。

史上初めてこの現象を確認できるようになった。
人間の寿命の限界、天井は115歳くらいだ」

と話しています。

生物学的な限界に達する

20世紀初頭から医学の発達、栄養状態の改善、衛生教育の普及などで、平均寿命はどんどん伸びました。

最高寿命も1970年代から急速に上昇しました。

しかし1990年代に頭打ちになり、ついに終点に達したことを発見しました。

最高寿命の上昇は、ジャンヌ・カルマンさんが亡くなった1997年が頂点。それ以後、彼女より長寿の人は現れていない。

世界最高齢の人が115歳前後という状態が現在まで続いています。

研究チームは、論文の添付文章の中で、こう述べています。

「陸上男子100メートル走の記録で、エリート・アスリートは数ミリ秒を削ることはできるかもしれない。

しかし5秒、いや2秒さえ削ることは決してできないだろう。

人間の体はそのようにできていない。

寿命も同じで、生物学的な限界がある。

1997年にフランス人女性ジャンヌ・カルマンさんが前人未到記録の122歳と164日で亡くなったが、彼女の記録は、ウサイン・ボルト選手の記録同様、金字塔として残り続ける可能性が高い」

群を抜いて長寿な人は減っている

研究チームのブランドン・ミルホランド教授は
「最近は、老齢期まで生きる人が増えていますが、群を抜いて長寿な人はむしろ少なくなっています。

115歳より長生きする人は出てくるかもしれませんが、今後、世界の誰か1人でも125歳まで生きる確率は、1万分の1にも満たないと考えられます。

過去数十年間の医学の進歩は、人々の寿命を底上げすることに役立ちましたが、最高寿命を伸ばすことには寄与していません」
と語っています。

最高齢のランキング

歴代最高齢、存命期間の長かった1位～11位は、全て女性となっています。

史上最高齢のギネス世界記録

順位	氏名	存命期間	国籍
1位	ジャンヌ・カルマン Jeanne-Louise Calment	122歳164日 1875年2月21日 - 1997年8月4日	フランス
2位	サラ・ナウス Sarah DeRemer Knauss	119歳97日 1880年9月24日 - 1999年12月30日	アメリカ合衆国
3位	田島 ナビ	117歳260日 1900年8月4日 - 2018年4月21日	日本 （鹿児島県）
4位	ルーシー・ハンナ Lucy Hannah	117歳248日 1875年7月16日 - 1993年3月21日	アメリカ合衆国
5位	マリー・メイユール Marie-Louise Meilleur	117歳230日 1880年8月29日 - 1998年4月16日	カナダ
6位	ヴァイオレット・ブラウン Violet Brown	117歳189日 1900年3月10日 - 2017年9月15日	ジャマイカ （黒人）
7位	エンマ・モラーノ Emma Morano	117歳137日 1899年11月29日 - 2017年4月15日	イタリア
8位	都 千代	117歳81日 1901年5月2日 - 2018年7月22日	日本 （神奈川県横浜市）
9位	大川 ミサヲ	117歳27日 1898年3月5日 - 2015年4月1日	日本 （大阪府大阪市）
10位	マリア・カポビージャ María Esther Heredia Lecaro de Capovilla	116歳347日 1889年9月14日 - 2006年8月27日	エクアドル
11位	スザンナ・ジョーンズ Susannah Mushatt Jones	116歳311日 1899年7月6日 - 2016年5月12日	アメリカ合衆国 （アフリカ系アメリカ人）

前人未到記録の疑惑

1997年に死去したフランス人女性ジャンヌ・カルマン（Jeanne Calment）さんの122歳と164日が、ギネス世界記録（Guinness World Records）で認定されている世界史上最高長寿記録となっています。

しかし、カルマンさんの122歳を証明する証拠として存在するのは、カルマンさんとその家族の出生、結婚、死亡証明書と40代頃の写真しかなく、医師の診療記録や近親者の証言のような客観的な証拠は全くありません。

この記録に疑問を抱いたロシアの研究者らが、カルマンさんの生涯を調査しました。

途中から成り済ましていた

数か月をかけ、生前の本人のインタビューや写真、カルマンさんを知る人の証言、カルマンさんが住んでいた南仏アルル（Arles）の自治体の公文書などを分析しました。

「これらの資料すべてを分析した結果、ジャンヌ・カルマンさんの娘イボンヌさんが、母親に成り済ましていたという結論に達した」と研究者は語りました。

公式記録によれば、カルマンさんの娘イボンヌさんは1934年に胸膜炎で亡くなっています。

研究者は、このとき死亡したのはイボンヌさんではなくカルマンさん自身で、その後イボンヌさんが相続税の支払いを逃れるために、母の戸籍を使用して母親に成り済ましたとの説を唱えています。

この説が事実なら、1997年に亡くなったのはイボンヌさんで、年齢は99歳だったことになります。

最高齢は119歳

仮にジャンヌ・カルマンさんの記録が取り消された場合、サラ・ナウスさんの119歳97日が最高齢の記録となり、歴代最高齢の記録としては120歳を超えていないことになります。

存命期間は1位と2位だけが突出していますが、
3位の田島ナビさんの117歳260日と、
11位のスザンナ・ジョーンズさんの116歳311日の
3位～11位まで差が314日と1年も差がありません。

男性の最高齢ランキング

男性限定の歴代最高齢、存命期間の長かったランキングです。

史上最高齢の男性のギネス世界記録

順位	氏名	存命期間	国籍
1	木村 次郎右衛門 Jiroemon Kimura	116歳54日 1897年4月19日 - 2013年6月12日	日本 （京都府京丹後市）
2	クリスチャン・モーテンセン Christian Mortensen	115歳252日 1882年8月16日 - 1998年4月25日	アメリカ合衆国
3	エミリアーノ・メルカド・デル・トロ Emiliano Mercado del Toro	115歳156日 1891年8月21日 - 2007年1月24日	プエルトリコ
4	マシュー・ビアード Mathew Beard	114歳222日 1870年7月9日 - 1985年2月16日	アメリカ合衆国
5	ウォルター・ブルーニング Walter Breuning	114歳205日 1896年9月21日 - 2011年4月14日	アメリカ合衆国
6	中願寺 雄吉 Yukichi Chuganji	114歳189日 1889年3月23日 - 2003年9月28日	日本 （福岡県）
7	ホアン・リウダベッツ Joan Riudavets	114歳81日 1889年12月15日 - 2004年3月5日	スペイン
8	フレッド・ヘイル Fred Harold Hale	113歳354日 1890年12月1日 - 2004年11月19日	アメリカ合衆国
9	イスラエル・クリスタル Yisrael Kristal	113歳330日 1903年9月15日 - 2017年8月11日	イスラエル
10	ジョンソン・パークス Johnson Parks	113歳275日 1884年10月15日 - 1998年7月17日	アメリカ合衆国

男性はベスト10の半数がアメリカ合衆国というのが特徴的です。

男女を合わせた歴代最高齢ベスト10に男性は入っていませんが、木村さんの存命期間116歳54日を考慮すると、男性でも女性と変わらないほど長生きできる可能性は十分ありますね。