日本における自殺者の原因・動機の圧倒的トップは「健康問題」です。
2018年では、健康問題が理由で1万人以上が自ら命を絶っています。
自殺の多くは、多様かつ複合的な原因、背景があり、様々な要因が連鎖する中で起きています。
しかし、健康問題が原因・動機の自殺者数は、経済・生活問題や家庭問題、勤務問題の3倍~5倍の自殺者数で、突出した1位となっています。
自殺の原因・動機となっている健康問題は何でしょうか?
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日本における自殺者の原因・動機の圧倒的トップは「健康問題」です。
2018年では、健康問題が理由で1万人以上が自ら命を絶っています。
自殺の多くは、多様かつ複合的な原因、背景があり、様々な要因が連鎖する中で起きています。
しかし、健康問題が原因・動機の自殺者数は、経済・生活問題や家庭問題、勤務問題の3倍~5倍の自殺者数で、突出した1位となっています。
自殺の原因・動機となっている健康問題は何でしょうか?
原因・動機 | 自殺者数(人) |
健康問題 | 10,423 |
経済・生活問題 | 3,432 |
家庭問題 | 3,147 |
勤務問題 | 2,018 |
男女問題 | 715 |
学校問題 | 354 |
その他 | 1,081 |
不詳 | 5,289 |
※厚生労働省の提供している警察庁の自殺統計に基づく
※遺書等の自殺を裏付ける資料により明らかに推定できる原因・動機を3つまで可能としているため、原因・動機特定者の原因・動機別の和と原因・動機特定者数(15,551人)とは一致しない
日本の自殺者数全体では、増加を続けていた2003年の34,427人をピークに減少に転じて、2018年の自殺者数は20,840人と近年30年で最小となりました。
医療技術の発展、企業のストレスチェック制度、生活者のヘルスケア意識の高まりなどにより、健康問題は減っていく傾向にあります。
しかし、自殺者総数の約半分の1万人以上が健康問題を理由に自殺していることを考慮すると、健康問題はまだまだ改善していく必要がある日本の社会問題の一つといえます。
世界的にも日本の自殺死亡率は高く、世界で6番目。
男女別にみると、日本の女性は世界で3番目の自殺死亡率で、男性が12番目となっています。
世界保健機関の「WHO 死亡データベース」から、2013年以降の人口と自殺者数が掲載されている国を対象に、自殺死亡率を算出しています。
国 | 統計年 | 自殺死亡率 |
リトアニア | 2015 | 30.8 |
韓国 | 2013 | 28.5 |
スリナム | 2014 | 24.2 |
スロベニア | 2015 | 20.5 |
ハンガリー | 2014 | 19.5 |
日本 | 2014 | 19.5 |
ラトビア | 2014 | 19.2 |
ウクライナ | 2014 | 18.6 |
ベラルーシ | 2014 | 18.4 |
エストニア | 2014 | 18.3 |
ウルグアイ | 2014 | 17.6 |
ベルギー | 2013 | 17.0 |
カザフスタン | 2015 | 16.4 |
セルビア | 2014 | 15.9 |
モルドバ | 2015 | 15.6 |
ポーランド | 2014 | 15.6 |
オーストリア | 2014 | 15.4 |
フランス | 2013 | 15.1 |
フィンランド | 2014 | 14.4 |
アメリカ | 2014 | 13.4 |
主要国ではフランスとアメリカの自殺死亡率が高くなっています。
国 | 統計年 | 自殺死亡率 |
リトアニア | 2015 | 54.3 |
韓国 | 2013 | 39.8 |
スリナム | 2014 | 34.8 |
ラトビア | 2014 | 34.0 |
ベラルーシ | 2014 | 33.3 |
スロベニア | 2015 | 32.5 |
ウクライナ | 2014 | 32.4 |
ハンガリー | 2014 | 31.5 |
エストニア | 2014 | 31.4 |
ウルグアイ | 2014 | 28.2 |
ポーランド | 2014 | 27.8 |
日本 | 2014 | 27.7 |
カザフスタン | 2015 | 27.6 |
モルドバ | 2015 | 27.1 |
クロアチア | 2015 | 26.5 |
ベルギー | 2013 | 24.8 |
セルビア | 2014 | 24.7 |
オーストリア | 2014 | 23.7 |
フランス | 2013 | 23.4 |
フィンランド | 2014 | 22.3 |
1位のリトアニアなど、女性と比べて高い自殺死亡率の国が多くなっています。
国 | 統計年 | 自殺死亡率 |
韓国 | 2013 | 17.3 |
スリナム | 2014 | 13.4 |
日本 | 2014 | 11.7 |
リトアニア | 2015 | 10.8 |
ベルギー | 2013 | 9.4 |
ハンガリー | 2014 | 8.7 |
スロベニア | 2015 | 8.6 |
ウルグアイ | 2014 | 7.6 |
セルビア | 2014 | 7.6 |
オーストリア | 2014 | 7.4 |
フランス | 2013 | 7.2 |
スイス | 2013 | 7.0 |
オランダ | 2015 | 6.9 |
エストニア | 2014 | 6.9 |
フィンランド | 2014 | 6.8 |
スウェーデン | 2015 | 6.8 |
ウクライナ | 2014 | 6.8 |
アイスランド | 2015 | 6.7 |
ラトビア | 2014 | 6.6 |
1位の韓国の自殺死亡率が突出して高くなっています。
年代(10年毎の年齢)別では、30代以降で自殺者数が1000人以上であり、健康問題は高齢者の問題ではありません。
毎日を元気に過ごしていると、「健康でいられること」のありがたさ(有難さ)は、誰もが忘れてしまいます。
多くの人は自分の身に健康問題がふりかかってから、"健康であること"がどういうことか知ることになります。
病気の苦しさ、辛さ、大変さを実感します。
健康なことが、どれだけ幸せで恵まれていることだったかを実感します。
しかし、そうなってからでは遅いのです。
多くの患者は、健康を失ったときに初めて、毎日気を付けていればよかったと心から後悔するといいます。
ジャンクフード、インスタント、レトルト、加工食品ばかりの食生活をしていませんか?
後天的な病気の場合は、多くはあらかじめ罹患を防ぐことは十分に可能です。
今の健康状態を知り、生活習慣を見直してみましょう。
年齢 | 計 | 男 | 女 |
~19歳 | 119 | 48 | 71 |
20~29歳 | 712 | 381 | 331 |
30~39歳 | 1,073 | 658 | 415 |
40~49歳 | 1,580 | 939 | 641 |
50~59歳 | 1,755 | 1,036 | 719 |
60~69歳 | 1,751 | 1,033 | 718 |
70~79歳 | 1,927 | 1,145 | 782 |
80歳~ | 1,504 | 849 | 655 |
不詳 | 2 | 1 | 1 |
合計 | 10,423 | 6,090 | 4,333 |
人口の年齢構成も影響していますが、身体の病気での自殺者数が多いのは60歳以上のシニア世代です。
年代(10年毎の年齢)別にみると、20代から60代まで自殺者数が年代とともに倍増しています。
国内における死因第1位の「がん」の罹患率は、女性は30代から、男性は40代から徐々に高まっていきます。
後悔しないためにも、若いうちから病気にならないような生活習慣をしましょう。
年齢 | 計 | 男 | 女 |
~19歳 | 10 | 6 | 4 |
20~29歳 | 54 | 35 | 19 |
30~39歳 | 96 | 67 | 29 |
40~49歳 | 190 | 128 | 62 |
50~59歳 | 372 | 257 | 115 |
60~69歳 | 653 | 467 | 186 |
70~79歳 | 984 | 696 | 288 |
80歳~ | 899 | 558 | 341 |
不詳 | 0 | 0 | 0 |
合計 | 3,258 | 2,214 | 1,044 |
健康問題と聞くと、体の病気を想像しますが、体の健康問題よりも心の健康問題が原因での自殺者数が多くなっています。
原因・動機 | 自殺者数 |
身体の病気 | 3,258 |
うつ病 | 4,213 |
統合失調症 | 965 |
その他の精神疾患 | 1,277 |
健康問題の自殺者数の中でも、うつ病の自殺者数は4千人以上と、一番多い自殺の原因・動機となっていて、幅広い年齢でみられます。
また労働者の自殺の7割がうつ病だという報告もあります。
うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスが重なることなど、様々な理由から、脳の機能障害が起きている状態です。
脳がうまく働いてくれないので、ものの見方が否定的になり、自分がダメな人間だと感じてしまいます。
といった「精神症状」が続く場合や、病院で検診を受ける、人に相談するなどしましょう。
うつ病になってしまっても、うつ病は必ず治ります。
うつ病を経験し克服することは、人生にとって有意義な成長の一段階だと考えましょう。
また、うつ病による自殺は、重い症状のときより、徐々に回復に向かい始め、本人も家族も安心しかけた時期に多いといいます。
回復してくると行動力が上がるので、自殺に踏み切りやすくなるためです。
焦りは禁物です。治療に専念して、十分に回復してから次の行動に移りましょう。
年齢 | 計 | 男 | 女 |
~19歳 | 41 | 12 | 29 |
20~29歳 | 342 | 164 | 178 |
30~39歳 | 540 | 340 | 200 |
40~49歳 | 829 | 486 | 343 |
50~59歳 | 870 | 494 | 376 |
60~69歳 | 702 | 334 | 368 |
70~79歳 | 593 | 264 | 329 |
80歳~ | 294 | 135 | 159 |
不詳 | 2 | 1 | 1 |
合計 | 4,213 | 2,230 | 1,983 |
統合失調症は、精神機能のネットワークがうまく働かなくなる状態をいいます。
感情や思考をまとめてあげることができなくなります。
年齢 | 計 | 男 | 女 |
~19歳 | 9 | 2 | 7 |
20~29歳 | 105 | 50 | 55 |
30~39歳 | 193 | 110 | 83 |
40~49歳 | 248 | 136 | 112 |
50~59歳 | 210 | 105 | 105 |
60~69歳 | 119 | 57 | 62 |
70~79歳 | 63 | 26 | 37 |
80歳~ | 18 | 5 | 13 |
不詳 | 0 | 0 | 0 |
合計 | 965 | 491 | 474 |
うつ病、統合失調症、アルコール依存症、薬物乱用を除いた精神疾患が原因の自殺者も、かなりの人数になっています。
年齢 | 計 | 男 | 女 |
~19歳 | 49 | 24 | 25 |
20~29歳 | 171 | 103 | 68 |
30~39歳 | 177 | 92 | 85 |
40~49歳 | 219 | 127 | 92 |
50~59歳 | 189 | 97 | 92 |
60~69歳 | 176 | 97 | 79 |
70~79歳 | 157 | 79 | 78 |
80歳~ | 139 | 66 | 73 |
不詳 | 0 | 0 | 0 |
合計 | 1,277 | 685 | 592 |
心の健康状態を良くしていくために、気合と根性といった精神論ではなく、具体的な対策が必要です。