長寿な人の割合が非常に高い地域は、ブルーゾーンと呼ばれています。
このブルーゾーンに住む人達は、60歳を超えても活動的で、見た目も若々しく、とても元気です。
デーニッシュ・ツイン・スタディという調査によると、人の寿命を決めるもののうち、10%だけが、生物学的なもの、遺伝子です。
残りの90%はライフスタイルで決まります。
では、健康と長寿になれるライフスタイルはどのようなものか?
米国人研究者ダン・ベットナー(1960年生まれ)が、2004年から専門家グループ(医者、人類学者、人口学者、栄養学者、疫学者たち)とチームを組み、世界にあるブルーゾーンを調査をしました。
- 調査したブルーゾーン(長寿地域)
- 長寿の9つの要因
- 男性が長寿なサルデーニャ島(イタリア)
- 世界一の女性長寿の沖縄(日本)
- 多民族のロマリンダ(米カリフォルニア州)
- 長生きのために本当に何が良いか?
調査したブルーゾーン(長寿地域)
- サルデーニャ島(イタリア)
- 沖縄(日本)
- イカリア島(ギリシャ)
- ロマリンダ(米カリフォルニア州)
- ニコヤ半島(コスタリカ)
長寿の9つの要因
- 日常生活でよく体を動かしている、そしてそれが規則的なこと。
長寿地域に住む人々は、座る時間が多い生活様式とは無縁である。
- 生き甲斐があること。
毎朝起きるための目的があるということ。
- ストレスが少ない。
ストレスは老化とかかわるすべての病気と密接な関係にある。
ブルーゾーンでは、生活のリズムの中にストレスを減らすための活動が組み込まれている。
- 地中海沿岸におけるシエスタ(昼寝)の習慣
- セブンスデー・アドベンチスト派の人々の祈りの時間
- 沖縄の女性たちのお茶の時間
- 2500年前の中国・孔子の教えに「腹八分目」という食事に対する提言がある。
これは満腹を感じるまで食べるのでなく、その80%までにしなさい、という意味だ。
満腹感は30分ほどかかって脳に届く。腹八分目にすることで過食を防げる。
- 野菜中心の食事を心がけること。
豆や木の実(ナッツ)を沢山食べる。
肉や魚、乳製品は食べてもいいが少量に抑えること。
- 適量のお酒をたしなむ程度に飲む人は、飲まない人よりも長生きするという俗説は正しい。
(最近、この考えに反対する意見もあるが、ブルーゾーンの高齢者には赤ワインなどを適量飲む人が多い)
- 健康的な習慣を促進するような社会的グループに参加する。
信頼に基づいた共同体で、きちんとした人達に囲まれている。
- 宗教グループの活動に参加する。
孤独は死につながりやすい。
お互いに助け合うコミュニティで暮らすことは大切だ。
- 父親、母親、兄弟姉妹、祖父母等、家族間の絆が深いこと。
家族を第一に考え 子供や老人の世話をする。
男性が長寿なサルデーニャ島(イタリア)
島には140万人が居ますが、島全体ではなく、ヌオロ県という高地地帯だけがブルーゾーンです。
サルデーニャ島の特徴
- この地方では男性の方が長寿
- アメリカの10倍の100歳以上の人間がいる
- 100歳以上でも非常に活動的
(102歳の老人がバイクで仕事にでかけ、薪割りをし、60歳も若い相手を負かすほど)
サルデーニャ島の生活
- 土地が不毛なため殆どが羊飼いをしていて、規則正しい、低強度の肉体活動をしている
- 食事は殆どが植物性
山に持っていけるような食物
- notamusicaというデュラム小麦で作った非発酵の全粒小麦パン
- トウモロコシで飼育された家畜のオメガ6脂肪酸でなく、草で飼育された動物のオメガ3脂肪酸を多く含むチーズ
- 世界で知られているどのワインよりも3倍のポリフェノールを含むCannonauと呼ばれているワイン
- 歳をとるにつれて人の価値が高まり、その知恵でより賞賛される
- 年老いた両親が家族の近くにいることで、4年から6年分、寿命が伸びる
(祖母効果と呼ばれ、その家族の子供にも良く、子どもたちの死亡率と疾病罹患率がより低くなる)
- 上下構造の家に住み、階段をよく登り下りして、店や教会、 友達の家に全て歩いて行く
- 便利な道具はなく、庭仕事や家事は手作業でやる
- 祈る
世界一の女性長寿の沖縄(日本)
161の小島からなる沖縄群島の本島の北部は、世界一の長寿地域です。世界で最高齢の女性人口が見られます。
沖縄の特徴
- 世界で最長寿の人々が住んでいる
- 疾患無しで、長い時間を生き、眠っている間にさっと他界する
(しばしばセックスの後に)
- 100歳以上の人口はアメリカの5倍
沖縄の生活
- 植物性中心の食生活で、いろいろな色の野菜がたくさん入っている
- アメリカ人の8倍の量の豆腐を食べる
- 過食防止の方法を持っている
- 小さめの皿で食べることで、毎回の食事でのカロリー摂取が控えめになっている
- ファミリースタイルの食卓で、しゃべりながら考えなしに食べ続けるのでなく、カウンターで食事を皿にとり、食卓まで持っていく
- 模合(もあい)という相互扶助システムで、生涯を通じて付き合える6人の友達を持てる社会となっている
(状況が悪い時や子どもが病気の時、親が死んだ時などには 、いつも助けになってくれる誰かがいる)
- 生き甲斐を持っている
(引退がない)
- 102歳の空手の道士の場合、空手道を発展させること
- 100歳の漁師の場合、家族のために週3回、魚を獲ってくること
- 102歳の女性の場合、歳が101歳半、離れている彼女の曾曾曾孫
- 100歳になる女性達は色々な場所に行き、毎日30回も40回も立ったり座ったりする
- 先祖を祀(まつ)っている
多民族のロマリンダ(米カリフォルニア州)
アメリカの最長寿の人口はセブンスデー・アドベンチスト(キリスト教系宗教組織)に多く、カリフォルニア州のロマリンダ周辺に集まっています。
30年間にわたって7万人をフォローした信頼できる研究で、ブルーゾーン計画の根拠を見事に示しています。
ロマリンダの特徴
- 安息日として、金曜の日没から土曜日の日没を定めている
- アメリカの平均的な女性の平均余命は80歳に対してアドベンチストの女性は平均余命は89歳
- 男性では標準的なアメリカ人男性より約11年も長生きする
- 多民族の社会で 白人、黒人、ヒスパニック、アジア系もいる
ロマリンダの生活
- 聖書にある食事法をそのまま実践している
- 毎週の24時間、どんなに忙しくとも、仕事でどんなにストレスがあろうとも、子どもが遊びたがっても、全てを止めて神と対峙し、社会生活にいそしみ、それから信仰と直結した 野外散歩を行う
(毎週、生涯にわたって行われる)
- アドベンチストは他のアドベンチストと付き合う
(アドベンチストのパーティへ行っても、バーボンをがぶ飲みしたりせず、次回の野外散歩について語り、料理法を交換し、そして祈る)
- 祈る
ロマリンダの人々
- 97歳にして、毎月20例の心臓外科手術をまだ行っている大富豪
- 朝は水泳から始め、週末には水上スキーで水しぶきをあげる103歳の現役のカウボーイ
- 一日を重量挙げから始め、自転車にも乗り、キャデラックセビルに乗り、いくつかの組織へボランティアをしに行く104歳の女性
長生きのために本当に何が良いか?
長生きするためには‥‥
- 糖質制限ダイエットをすべきなのか?
- マラソン、ヨガをすべきか?
- オーガニック食品を食べるべきか?
- サプリメントは摂ったほうがいいか?
- ホルモンや抗酸化物質はどうしたらいいのか?
- 精神世界は?
- 世間付き合いは?
調査結果から考えてみると、次のようになります。
健康的な生活スタイルを維持する
- 食事:
- 腹八分目を目安に、過食をしない工夫をする
- 野菜を中心に、豆や木の実(ナッツ)を食べる
(肉や魚、乳製品は食べてもいいが少量に抑える)
- 適量のお酒を飲む
- 運動:
- 日常生活の中でよく体を動かす
(運動する時間を作らなくても、よく動いている)
- 長時間、座ることがない
- 心の静寂:
心を落ち着ける時間や活動が生活に組み込まれている
(シエスタ(昼寝)・祈りの時間・お茶の時間)
- 生き甲斐をもつ:
楽しみを持って生きている
- つながり:
- 家族やコミュニティと助け合いながら暮らしている
- 家族や友達を大切にしている
- 孤独を感じていない
健康的な生活を営む一員である
- 自分の周りの人たち(家族・友人・帰属したグループ・コミュニティ)が健康的な生活スタイルをしている
このような暮らしをしていれば、充実した健康な生活を送ることができ、そして長生きできるようになれると思います。