オリーブの果実をすりつぶして、果汁から採油する植物油が、オリーブオイルです。
オリーブ栽培とオリーブオイル発祥の地は地中海沿岸で、紀元前3500年以上も前からオリーブオイルは使用されています。
風土や苗・製造方法、生産者の嗜好などにより、色や味に個性が出ます。
若い実を絞ったものは、葉緑素が残り緑色になり、苦みが強くなります。
オリーブのよく育つ環境は、ワイン用のブドウ(特にシラーやカベルネ種)が育つ環境と非常に似ています。
オリーブオイルをたっぷりと使った地中海食に、ワインが合いますね。
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オリーブの果実をすりつぶして、果汁から採油する植物油が、オリーブオイルです。
オリーブ栽培とオリーブオイル発祥の地は地中海沿岸で、紀元前3500年以上も前からオリーブオイルは使用されています。
風土や苗・製造方法、生産者の嗜好などにより、色や味に個性が出ます。
若い実を絞ったものは、葉緑素が残り緑色になり、苦みが強くなります。
オリーブのよく育つ環境は、ワイン用のブドウ(特にシラーやカベルネ種)が育つ環境と非常に似ています。
オリーブオイルをたっぷりと使った地中海食に、ワインが合いますね。
酸化されにくいオレイン酸を比較的多く含むため、他の食用の油脂に比べて酸化されにくく、常温で固まりにくい性質を持ちます(不乾性油)。
オリーブオイルの"緑色"は「クロロフィル」によるもので、クロロフィルは酸化を防ぐ効果があります。
食用の他に古くから薬用としても使われてきました。
皮膚の乾燥やかゆみを防止する目的で、スキンケアやマッサージオイルとしても用いられています。
オリーブを栽培している国は30カ国を超えると言われていますが、全世界生産量の98%は、今でも地中海沿岸で行われています。
地中海沿岸の温暖な気候、太陽、空気がオリーブ栽培に最適なのです。
| 国 | 2000 | % | 2014 | % |
| スペイン | 962.400 | 38,2% | 1.775.800 | 54,3% |
| イタリア | 507.400 | 20,1% | 461.000 | 14,1% |
| トルコ | 185.000 | 7,3% | 190.000 | 5,8% |
| シリア | 165.354 | 6,6% | 165.000 | 5,0% |
| ギリシャ | 408.375 | 16,2% | 131.900 | 4,0% |
| モロッコ | 40.000 | 1,6% | 120.000 | 3,7% |
| ポルトガル | 25.974 | 1,0% | 91.600 | 2,8% |
| チュニジア | 115.000 | 4,6% | 70.000 | 2,1% |
| アルジェリア | 30.488 | 1,2% | 44.000 | 1,3% |
| アルゼンチン | 10.500 | 0,4% | 30.000 | 0,9% |
| ヨルダン | 27.202 | 1,1% | 30.000 | 0,9% |
| レバノン | 5.300 | 0,2% | 20.500 | 0,6% |
| オーストラリア | 500 | 0,02% | 18.000 | 0,6% |
| リビア | 6.000 | 0,2% | 15.000 | 0,5% |
| 世界の合計 | 2.518.629 | 100,0% | 3.270.500 | 100% |
スペインは、オリーブ油生産国としては後発の国ですが、世界最大の生産国です。
国内生産のほとんどがアンダルシア地方に集中し、区画された農場に整然と立ち並ぶオリーブの木、機械化された収穫や木の剪定作業、そして限定した品種にすることにより、安定した品質と高い生産性を実現させています。
この効率的な生産方法により、2000年と2014年を比較して生産量が2倍になり、世界の生産の半数以上を占めるようになりました。
イタリアは、昔から栽培されてきた農場を守り、収穫をいまだに手収穫でする農場が残っています。
農場の区画は不揃い、品種や樹齢も様々です。
南北に細長いイタリアは、冬季には雪が積もる北部から、温暖で乾燥気候の南部まで気象条件に大きい開きがあります。
オリーブも、それぞれの気象条件に適合した品種が栽培されていて、オリーブの品種は400種を超えるとされています。
このため、イタリアでは産地ごとに特徴を有するオリーブオイルが生産され、地域ごとの食材に適した料理が発達してきました。
南部ではパスタ料理を、トスカーナでは肉や豆を、北部では魚介類をそれぞれ多く食する傾向があります。
ギリシャのオリーブの生産量は2000年と2014年を比較して、3分の1にまで下がり、世界の生産の16.2%から4.0%にまで下がっています。
ギリシャの食生活が変化してきていることに影響がありそうです。
オリーブオイル消費量では「ギリシャ」が世界一。日常の食卓において様々な料理に使われており、日常生活に欠かせない食材です。
特にクレタ島の人々の消費量は世界一といわれるギリシャ人の年間平均消費量の倍、年間40リットルと言われています。
次いでイタリア、スペイン、チュニジア、ポルトガルなど地中海沿岸諸国が続いています。
まさに、地中海料理=オリーブオイルと言えます。
地中海沿岸の食生活がこの45年で変わってきています。所得が増え、肉製品や高脂肪食品の摂取が増加し、エネルギー摂取量も増えているといいます。
特にギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガル、キプロス、マルタでは、食べすぎが増えた結果、肥満の割合が高くなり、肥満の割合は国の人口の半分以上になっています。
ギリシャでは、エネルギー摂取が増えた一方で、消費エネルギーは減っており、肥満指数(BMI)はEU加盟国でもっとも高く、肥満や過体重も急速に増えていて、全人口に占める肥満の割合は4人中3人に上ってしまいました。
このことがギリシャのオリーブオイルの生産量が、著しく下がっている要因ではないかと考えられます。
種子や果実から採取される植物油の多くが、加熱工程や溶剤抽出工程を経て得られ、特にほとんどの場合、植物組織から油を分離するのに加熱工程が不可欠です。
オリーブオイルは生の果肉から非加熱で果汁を絞って放置しておくだけで、自然に果汁の表面に浮かび上がり、これを分離することで得ることができます。
果汁から遠心分離などの機械的処理のみで得られた油を「ヴァージンオリーブオイル」と呼びます。
その中でも、風味官能検査で味や香りに欠陥がひとつもなく、酸度が0.8%以下のものを特に「エクストラ・ヴァージンオリーブオイル」と呼びます。
日本で「ピュア・オリーブオイル」と呼ばれるのは、精製ヴァージンオリーブオイル(品質の悪いオイルを脱酸・脱臭・脱色等したもの)とヴァージンオイルをブレンドしたオリーブオイルです。
ただし、これらの品質等級規格はIOC(国際オリーブ協会)の定めたもので、IOCに加盟していない日本では、これらの品質等級規格に沿った製品表示でなくとも法的に問題ないため、基準に当てはまるのか判断ができません。
| 品質等級 | 酸度(%) | 等級規格 | 精度 (mg/kg) |
| エクストラ・ヴァージン オリーブオイル |
≦ 0.8 | ヴァージンオリーブオイルのうち風味官能検査で 味や香りに欠陥がひとつもないもの |
≦ 250 |
| ヴァージン オリーブオイル |
≦ 2.0 | ヴァージンオリーブオイルのうち風味官能検査で 味や香りに若干の欠陥があるもの |
≦ 250 |
| オーディナリー・ヴァージン オリーブオイル |
≦ 3.3 | ヴァージンオリーブオイルのうち風味官能検査で 味や香りに複数の欠陥があるもの(日本では非食用) |
≦ 300 |
| ランパンテ・ヴァージン オリーブオイル |
> 3.3 | ヴァージンオリーブオイルのうち酸度が高く食用には不向きで、 精製が必要なもの(非食用) |
≦ 300 |
| 精製 オリーブオイル |
≦ 0.3 | ヴァージンオリーブオイルを精製したもの | ≦ 350 |
| (ピュア) オリーブオイル |
≦ 1.0 | 精製オリーブオイルとヴァージンオリーブオイルを ブレンドしたもの |
≦ 350 |
| 精製 オリーブポマースオイル |
≦ 0.3 | 精製オリーブオイルの絞りかす(ポマース)から さらに抽出したもの |
> 350 |
| オリーブポマースオイル | ≦ 1.0 | 精製オリーブポマースオイルに ヴァージンオリーブオイルをブレンドしたもの |
> 350 |
オリーブオイルの輸入量が最も多い米国で、オリーブオイルの品質が社会的に問題になっています。
2010年、カリフォルニア大学デービス校の研究チームが、オーストラリアのオイル研究所と共に、カリフォルニア州で販売されている「エキストラバージン・オリーブオイル」の品質を評価しました。
「エキストラバージン」の呼称は本来、オリーブオイルの中でも一部のみに認められています。は、オリーブの実だけを原料とした未精製の油で、酸化その他の欠陥のないことなど厳しい条件を定めており、参加国にはその遵守が求められます。
IOC(INTERNATIONAL OLIEVE COUNCIL:国際オリーブ理事会)の国際規格と、USDA(UNITED STATES DEPARTMENT OF AGRICULTURE:アメリカ合衆国農務省)の基準に基づいて、研究チームは、品質を分析・評価し、以下の項目のうち1つでも認められれば不適格としました。
その結果、
米国で最も売れている
輸入エキストラバージン・オリーブオイル5製品のうち、
73%は基準をクリアできませんでした。
イタリア製の上級品(単位あたり価格は他の約2倍)でも、
11%は基準を満たしていませんでした。
未精製のオリーブオイルには、ポリフェノールなど活性酸素を除去する様々な成分が含まれます。
動脈硬化の原因であるLDL(肝臓で合成されたコレステロールを各臓器に運ぶカプセル)の酸化の防止や、心臓病リスク低減などの健康効果が明らかにされています。
精製したものは、精製過程で成分が失われてしまうため、精製油が混じっていれば健康効果は下がります。
また、酸化した油脂類には様々な有毒物質が含まれ、ひどい場合は下痢や嘔吐を引き起こし、食中毒を招きます。
マウス実験では、酸化した油の長期的な摂取が免疫機能の低下や体調不良を引き起こすことが報告されています。
日本でもオリーブオイルの消費量は大幅に増え、1993年から20年で全国の輸入数量は約10倍、輸入金額は約15倍に増加しました。
日本は、米国やロシア、中国を始めとする多くの国が正式参加しているIOC(国際オリーブ理事会)に参加していません。
そのため「エキストラバージン」のラベル記載も自由で、一定の品質を示してはいないのです。
日本農林規格(JAS規格)の定める「食用オリーブオイル」の表示で保証されるのは、
「オリーブの果肉から採取した油であって、食用に適するように処理したもの」
という内容にとどまります。
酸化や老化、原料の質や扱いについては関知せず、純度についての検査等も規定はありません。
一般にピュア・オリーブオイルと日本で呼ばれるオリーブオイルは、ブレンドしたオイルです。
精製ヴァージンオリーブオイル(品質の悪いオイルを脱酸・脱臭・脱色等したもの)とヴァージンオイルをブレンドしています。
果実が傷付いていたり、虫の喰った実などが含まれていると、かすかに異臭が混じり、オリーブ油の特徴を損ないます。
若い果実には、自然の生体防御機構として果実の損傷を抑えるためのポリフェノールのような抗酸化物質が豊富に含まれており、これらはオリーブ油の味を形成する大切な要素です。
光による劣化を防ぐために、遮光瓶を使っているオリーブオイルを選びましょう。
高価なオリーブオイルの場合、長い間棚に置かれている場合があります。
高品質だったオリーブオイルが、光や温度によって、品質が劣化している場合がありますので、注意が必要です。
日本では「エキストラバージン」のラベル記載も自由です。品質を保証するものではありません。
プレミアム・エキストラバージン・オリーブオイルという「プレミアム」の品質は、IOCの規格には存在しません。
メーカーが独自にネーミングしたもので、プレミアムが付くオリーブオイルが、付かないオリーブオイルよりも品質が高いということではありません。
オリーブの生産者と製造方法の情報があり、信頼できるオリーブオイルを買いましょう。
下記の内容がわかるものが確かだと思います。
1908年(明治41年)にオリーブオイルの自給をはかるため、農商務省がアメリカ合衆国から導入した苗木を三重県、鹿児島県と香川県に試験的に植えました。
香川県の小豆島に植えたオリーブだけが順調に育ち、大正時代の初めには搾油ができるほどの実が収穫されました。
小豆島では今でも島のあちこちにオリーブの樹が植えられており、国産のオリーブ・オイルが作られています。
オリーブオイルの品質を保持するためには、過剰な熱、空気、湿気、そして光(紫外線)から遠ざけなければなりません。
オリーブオイルは、品質の変わりにくい安定したオイルで、開封前の状態であれば数年は保存できます。
瓶詰め後、12~18ヶ月と時間がたつにつれ、色や香りは落ちてきますので、新しいほうがよりおいしく楽しめるでしょう。
紫外線により劣化するので、太陽光線・蛍光灯の光を避け、冷暗所で保存します。
蛍光灯を当てると酸化度はおよそ10倍増加するという結果も出ています。
開封後も以下のことに気をつけて、使うたびにかたく栓をしめて、冷暗所に保存すれば、長く品質を保つことができます。
オリーブオイルは、210℃までなら加熱しても安定していますので、油として揚げる・炒める・和える用途で使えます。
ただしオリーブオイルの香りは、加熱温度により変化します。
50℃~150℃までは香りの変化が少ないのですが、200℃になると香りが大きく変化をしてしまいますので、炒めるときは温度に注意が必要です。
また調味料としても使えます。カルパッチョは、オリーブオイルを調味料として利用した料理の代表です。
トコフェロールやフェノール酸などの微量成分は、加熱により失われやすいので、生のままでも摂りましょう。
ハーブ類や香味野菜との相性も良く、これらを漬け込んだ香味油としても利用できます。
サラダにかけたり、バターの代わりにトーストにつければ、生のままの味と香りを楽しめます。
グリルした肉や魚、野菜、スープなど、暖かい料理の仕上げに一振りという使い方もあります。
揚げ物をするときは、フライパンに浅めに油を張って揚げるフライパン調理が最適です。カラッと軽く仕上がります。
甘くなめらかな舌ざわりで最もライトです。
この品種は、カルパッチョなど、オイルをそのまま摂取する料理に適しています。
わずかに苦みをともないますが、アーモンドの香りを感じられるミディアムタイプ。
オイル漬けに使用すれば、その特徴的な香りを存分に活かすことができます。
苦みが強い、フルボディータイプ。フライドポテトなどの揚げ物に向いています。
健康効果のためには、1日に大さじ1~2杯をとるのがよいとされています。
オリーブオイルの主成分であるオレイン酸が、腸を刺激して排便を促す効果があります。
ただし体質によっては、オリーブオイルの摂取によって下痢を起こす場合もあります。
オリーブオイルのみが油として使われている国が、心臓病による死亡率が現在、最も少ない国です。
オリーブオイルは、血栓の形成や血小板の凝集を防ぐ効果があることが証明されています。
オリーブオイルが豊富な食事は、血栓形成を促進する脂肪食品の効果を弱めることができ、過剰な血液凝固を回避することができます。
これによりオリーブオイルが主な油として使われている国で、心不全の発生率の低下に寄与しています。
オリーブオイルから抽出された天然有機化合物「オレオカンタール」が、抗炎症作用と抗酸化作用があるため、心臓病の発生の予防に関わっているのではないかと思われています。
脂肪(トリグリセリド)とコレステロールは、リポタンパク質によって血中に運ばれます。
オリーブオイルは、総血中コレステロール、「悪玉コレステロール」として知られている低密度リポタンパク質に結合したコレステロール「LDL−コレステロール」、トリグリセリド(中性脂肪)のレベルを下げます。
同時に「善玉コレステロール」と呼ばれる高密度リポタンパク質に結合したコレステロール「HDL−コレステロール」のレベルは変わりません(上げることさえあります)。
それは保護的役割を果たし、脂肪パッチの形成を妨げ、血管壁を損傷する低密度リポタンパク質の排除を刺激します。
高密度リポタンパク質は、細胞から遊離コレステロールを取り除き、それからそれをエステル化して肝臓に運び、そこで胆汁で除去されます。
エクストラバージン・オリーブオイルは、オリーブの果実を丸ごとしぼっただけの100%天然のジュース。
他の油脂ではほとんど取り除かれてしまうような、フラボノイド等のフィトケミカルの抗酸化物質が、あまり除去されずにしぼり出されており、オリーブの実に含まれる様々な成分が溶け込んでいます。
酸化反応により引き起こされる生体にとって有害な作用を「酸化ストレス」と呼びます。
体には細胞内に発生した活性酸素を分解するSODがありますが、分解できずに、何らかの分子に酸素原子が結合することで、体が酸化します。
オリーブオイルに含まれるビタミンE(α-トコフェロール)、カロチノイド、フェノール化合物(ヒドロキシチロソールなどの単純フェノール、オレウロペインなどの複雑なフェノール)はすべて抗酸化物質です。
そのためオリーブオイルには強力な酸化を防止する効果があり、活性酸素からのダメージを保護します。
食事にオリーブオイルを添加すると、血圧が明らかに低下することが明らかになっています。
オリーブオイルを定期的に摂取すると、最高血圧と最低血圧の両方の血圧が下がります。
オリーブオイルに含まれるポリフェノールの効果ではないかと思われていますが、要因はまだ明確になっていません。
オリーブオイルが豊富な食事は、糖尿病の治療だけでなく、予防の助けにもなります。
HDLコレステロールを上げ、トリグリセリドを下げ、血糖値管理を改善し、血圧を下げることで、インスリン抵抗性とその有害な影響を防ぐことができます。
オリーブオイルが豊富で、飽和脂肪が少なく、炭水化物がやや豊富で、果物、野菜、豆類、穀物の可溶性繊維からなる食事が、糖尿病患者にとって最も効果的なアプローチであることが実証されています。
この食事療法は血糖コントロールを改善して、インスリン感受性を高めます。
オリーブオイルを多く含む食事「地中海食(地中海式ダイエット)」は、「低脂肪食」よりも、長くて持続的な体重減少をもたらすことが証明されています。
カルシウムの吸収を助け、それによって成長期や骨粗鬆症の予防に重要な役割を果たします。
オリーブの葉や若い実に多く含まれるポリフェノール・オレウロペインや、その代謝産物ヒドロキシチロソールによって、骨密度の低下を防いだり、関節炎を改善するという研究が報告されています。
オリーブオイルを多く含む食事は、健康な高齢者の記憶喪失を予防する可能性があります。