「幸せホルモン」や「幸福ホルモン」とも呼ばれるセロトニンは、脳内で働く神経伝達物質のひとつです。
ドーパミン(快感をもたらす)やノルアドレナリン(積極性を高める)などをコントロールして、感情や精神の安定に深く関わっています。
また、セロトニンは精神面だけではなく、消化や排便、体温調節など、体の様々な働きに関わっています。
睡眠、生体リズム調節、脳の覚醒に関わり、メラトニンとは逆に昼に多く分泌され、夜は分泌量が低下します。
またホルモンとしても働き、消化器系や気分、睡眠覚醒周期、心血管系、痛みの認知、食欲などを制御しています。
- 感情のコントロール
- セロトニン不足による影響
- セロトニンの9割は腸に
- セロトニンを増やすには
- 太陽の光を浴びる
- リズム運動
- セロトニンを増やす食材を食べる
- セロトニンをつくる材料(食材)
- 腸内環境を良くする
- 瞑想をする
- パートナーとハグする
- マッサージを受ける
感情のコントロール
セロトニンは、好きなことや楽しいことをしているときなど、幸せな気分を味わっているときに分泌され、また、そのような気持ちをつくるホルモンです。
欲望にかかわる脳内ホルモンのドーパミンや、依存症にかかわるノルアドレナリンの分泌を調整して、安らぎ感や穏やかな満足感といった幸福感が得られます。
ノルアドレナリン
緊張や不安、集中、積極性をもたらし、ストレスに打ち勝とうとするときに働きます。
心拍数を上げたり、血液量を増やしたりして、活動しやすい状態をつくります。
過剰になると攻撃的になったり、ヒステリーを起こしたり、パニックになったりします。
ドーパミン
ストレスになるようなツライ状況を乗り越えたときの達成感、うれしい気持ち、喜びや意欲、快感をもたらす働きがあります。
過剰になると過食や買い物依存、アルコール依存になったりします。
セロトニン不足による影響
セロトニンが不足すると、脳の機能の低下が見られたり、緊張や焦燥が起こり、心のバランスを保つことが難しくなります。
気分障害や精神疾患、睡眠障害、便秘などの原因となります。
セロトニンの9割は腸に
体内には約10mgのセロトニンが存在していて、このうち
消化管粘膜(小腸の粘膜):90%
血小板の中:8%
脳内の中枢神経系:2%
の割合で存在しています。
セロトニンは主に、小腸にある腸クロム親和性細胞、および腸クロム親和性細胞様細胞が産生しています。
腸の蠕動亢進に働くため、消化管のセロトニンが
過剰に分泌されると下痢になり、
分泌が少ないと便秘になります。
セロトニンを増やすには
太陽の光を浴びる
太陽の光を浴びると、目から脳に信号が出され、脳内でのセロトニン合成が活発になります。
光を浴びる時間は、季節や天候などにもよりますが、1日20~30分程度が目安とされているようです。
特におすすめなのは朝の日光浴。朝の光は覚醒のスイッチになりますし、体内の生活リズムを整える働きも期待できます。
冬は日照時間が短いため、太陽の光を十分に浴びることができず、セロトニンが不足しやすくなるので、意識的に光を浴びましょう。
リズム運動
ウォーキングやスクワットなど、一定のリズムで同じ動作を繰り返す反復的な「リズム運動」によってセロトニンが増えることがわかっています。
また、食事のときによく噛むこともリズム運動のひとつです。
- ウオーキング
- 自転車こぎ
- スクワット
- 坐禅の呼吸法
- 読経
- ヨガ
- 太極拳
- ガム噛み
セロトニンを増やす食材を食べる
- ナッツ
- パイナップル
- プラム
- トマト
- チョコレート
ナッツを食べると自然とセロトニンを増やす効果があります。
他にもパイナップル、プラム、トマトもセロトニンの値を増やしてくれる食材です。
チョコレートにもセロトニンを増やす効果があります。
またオメガ3脂肪酸の不足は、セロトニンやドーパミンの数値の低下と関わりがあるため、オメガ3脂肪酸を含むくるみや青魚のサバ、サンマ、イワシ、サーモンなどを食べましょう。
セロトニンをつくる材料(食材)
特定の食物や栄養素に偏らないように気をつけて、バランス良く色々な食物を食べましょう。
トリプトファン
必須アミノ酸のひとつで、セロトニンの材料になります。体の中では作り出せないため、食物からとることが必要です。
大豆製品、魚、豚肉、牛肉、卵、ナッツ、バナナなどに含まれます。
ビタミンB6
トリプトファンからセロトニンが合成されるために必要です。
サンマ、イワシ、カツオ、マグロ、サケ、にんにく、牛レバー、バナナなどに含まれます。
鉄
セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの合成に不可欠です。
ひじき、きくらげ、干しエビ、パセリ、しじみなどに含まれます。
カルシウムとマグネシウム
神経伝達物質を放出するときに不可欠です。
カルシウムは、ごま、わかめ、とろろ昆布、牛乳、チーズなどに含まれます。
マグネシウムは、わかめ、とろろ昆布、焼き海苔、干しエビなどに含まれます。
腸内環境を良くする
幸せは胃腸からでも感じることができ、セロトニンがもっとも集中しているのは脳ではなく、腸なので、腸の健康を促進しましょう。
ヨーグルト、ザワークラウト、チェダーチーズなどの発酵食品を食べると良いです。
瞑想をする
マインドフルな瞑想(メディテーション)をすることは、血圧を下げたり、セロトニンの値を増やしてくれます。
自分が考えていることを認識し、一切の判断をせずに受け入れることで、不安を軽減し、心と体の健康を促進することができます。
マインドフルな瞑想は、感情のコントロールに関わる脳内の灰白質の密度を高めるとの結果もでています。
パートナーとハグする
- 恋に落ちる
- 恋をする
- 手を握る
- 体を寄せ合う
- キスをする
- ハグをする
- 性行為をする
パートナーと2人きりの時間を楽しむことは、すべてセロトニンの分泌を促します。
さらに、これらの行為は、同時にオキシトシンの分泌も引き起こすので、素晴らしい脳内化学物質によって気分が上がるわけです。
マッサージを受ける
マッサージ療法は、不安やうつに対して効果的に対処することができるという研究結果があります。
約500人のうつや不安を抱える成人の男女と子供を調査したところ、マッサージ療法は被験者のコルチゾールの値を約53%も減らし、セロトニンのレベルも上げることができたそうです。