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幸せホルモン:オキシトシンで幸せになる

オキシトシン(Oxytocin)は、幸せホルモンと呼ばれますが、他にも数々の呼ばれ方をしているホルモンです。

  • 抱擁ホルモン
  • 愛情ホルモン
  • 恋愛ホルモン
  • 信頼ホルモン
  • 絆ホルモン
  • 思いやりホルモン
  • 癒しホルモン
  • 母乳ホルモン

呼ばれ方の通り、ホルモンを分泌すると、愛情や信頼などの感情を呼び起こします。共感力を高め社会性を強化するのです。

触れ合う、スキンシップ、ハグしたときなどに、ホルモンが出ますので抱擁や恋愛ホルモンと呼ばれます。

幸せホルモンが影響する人間関係

性別が違うと家庭、仕事、お金に対しての考え方に開きがあるため、恋人と別れたり、離婚の原因となります。

異性間でオキシトシンの分泌を増やすことは、愛情や信頼関係を築き、関係を保つために特に重要なことです。

男女間だけではなく、同性や家族、ペットとの触れ合いでもオキシトシンが出ます。

集団生活や社会的行動など、人のつながりに大きな影響があります。

幸せホルモンの効果

オキシトシンの分泌により、わたしたちに以下のような効果をもたらしてくれるといいます。

  • 幸せな気分になる
  • リラックス効果がある
    • 脳・心が癒される
    • ストレスが緩和する
  • 安心感を強める
    • 不安や恐怖心が減少する
    • 乱暴な行動が少なくなる
  • 他者への信頼の気持ちが増す
    • 浮気を防止する効果がある
  • 共感力と社会性が高める
    • 社交的となり人と関わりたいという好奇心が強まる
    • 親密な人間関係を結ぼうという気持ちが高まる
    • 認知症や自閉症の改善に効果がある
  • 学習意欲と記憶力向上
  • 心臓の機能を上げる
    • 高血圧の改善効果
  • 成長ホルモンの分泌促進
    • 健康な皮膚や毛髪を作る美容効果
    • 代謝を良くする

幸せホルモンの副作用

オレゴン州立大学の研究で、オキシトシンは

  • 自分の嫌いな人が成功した場合

    嫉妬をかきたてられる
  • 嫌いな人に自分が勝った場合

    得意な気持ちにさせる

という結果が出ています。

オキシトシンは、幸せを失うことへの不安や、幸せを壊すもの(他者)への攻撃性を高めるという作用があります。

つまり敵と仲間がいる場合に、仲間への絆や守ろうとする気持ち(仲間意識)が高まります。

しかし、敵に対しての不安や恐怖心、攻撃的な気持ちも高めるのです。

オキシトシンは、過去に強い恐怖や不安を感じた嫌な出来事の記憶が強く残って思い出しやすくなることで、
「不快な刺激に強い反応を示す」
という実験結果が出ています。

またオキシトシンを高濃度で摂り過ぎると、オキシトシンの受容体が減少してしまい、攻撃性の上昇や不安が増強する矛盾した副作用がオキシトシンにはあることが分かっています。

オキシトシンを分泌させる方法

  • 抱擁/ハグをする
  • 手をつないで見つめ合う
  • キスする
  • 愛撫・性交渉
  • 人にマッサージをする
  • 家族団らん
  • 友達と食事をする
  • おしゃべりをする
  • 信頼している人に電話をかける
  • 感情を素直に表す
  • 友達とカラオケにいく
  • ペットとスキンシップをとる
  • かわいい動物を見る
  • プレゼントを贈る
  • 親切を心がける
  • 人に料理を作る
  • 好きな人の写真を見る
  • 感動する
  • 大好物を食べる
  • 困っている相手を助けたり、親切にする
  • 協力して一緒の目標に努力する

母と子の愛情

感情だけではなくオキシトシンは、筋肉を収縮させる作用など、体にも影響を与えてます。特に妊娠・出産、授乳と深い関係があります。

妊娠・出産する母親に、子宮の筋肉を収縮させて陣痛を促したり、乳腺の周囲の筋肉を収縮して母乳分泌を促す効果があります。

子育てで、子供とのスキンシップでオキシトシンの分泌を促進することは、愛情・信頼・絆・安心感などを感じられるため、人格形成に良い効果があり、人間関係を大事にする子供に育ちます。

  • 集中力が上がり、学力が向上する
  • 問題行動や乱暴な行動が減少する
  • 共感力が高まる

子供が安心感を持っていると、積極的な行動を取れる子供の成長しますし、ストレス耐性がつくため多少のことでへこたれたり、諦めない人間となります。

スキンシップと親子関係

中学生の子供を持つ親1,000名を対象に「スキンシップと親子関係」に関する調査をしたところ、

反抗期を迎える中学生での親子関係が
「良好」と回答したのは

小学生の時に子供と
・良くスキンシップをとっていた 72%
・スキンシップを全くとらなかった 18%

となりました。スキンシップが親子関係や人間形成に好影響することが分かりました。

また、親子でスキンシップをとっている子供の方が「成績が良い」という結果も出ました。

アメリカの心理学会の調査では、子供は大人よりもストレスを感じやすく、大人よりも子供の方がストレスレベルが高いという結果が出ています。

スキンシップによってオキシトシンが分泌が増加することで、親子関係が良好に保たれてストレス解消したため、学習意欲が改善したことや、集中力や記憶力が活性化されたので、成績が良くなったと考えられます。

母性行動とオキシトシン

オキシトシンは母性行動の形成にも重要な役割を果たし、マウスを使った実験では、オキシトシンとオキシトシン受容体を働かなくしておくと、母乳が出なくなるほか、母性行動が少なくなるというデータがあります。

幸福で成功した子供を育てるには

イギリスで7万人以上、5世代に渡る出生コホートと呼ばれる膨大な調査データを研究した結果は、、、

「貧困家庭や不利な環境に生まれてはならない」

そうなってしまったら、困難な人生を歩む可能性は、かなり高まります。

恵まれない子供達は、ほぼあらゆる点で苦労することが明らかになっています。

人生のスタートで苦労した子供は、学習が遅れ、学校の成績は振るわず、、、

大人になっても、良い仕事に就けず、稼ぎも少なくなりがちで、健康を害する可能性が高いのです。

しかしながら恵まれない環境に生まれても、最終的に成功を収める人はたくさんいます。

イギリスで1970年に生まれた約1万7千人の子供達を調査しました。

困難な人生のスタートを切った子供達が、悪条件にもかかわらず、なぜ学校で頑張って成功をおさめたのか?

集めたデータを調べて解明しようとしました。

どんな子供が逆境を乗り越えるのか?

データによると何より重要なものはでした。

生まれて数年間、親が子供に関心を持ち、熱心に関わる事と、子供が学校でうまくやっていく事には、密接な関係がありました。

実際、親がおこなう極めて些細なことが、子供にとっては良い結果に結びついているのです。

  • 子供と話す
  • 子供の話を聞く
  • 温かい返事をする
  • 文字や数字を教える
  • 旅行などに連れて行く
  • 毎日子供に読み聞かせをする
  • 規則正しく同じ時間に寝る
  • 子供達が自分で選んだ本(雑誌・絵本・物語)を与える

産後クライシスによる夫婦のトラブル

産後クライシスとは、産後2年以内に夫婦の愛情が急速に冷え込む状況のことを言います。

厚生労働省の調査では、子供が0~2歳の時に離婚した世帯の割合は全体の37%程におよびます。

子供の年齢別での離婚率は最も割合が多いため、産後クライシスが離婚の原因ではないかと言われています。

オキシトシンの副作用による影響

産後クライシスの原因は

  • 体調不良
  • 精神的不安
  • ホルモンバランスの乱れ
  • パパの育児不参加

などがありますが、育児不参加によるオキシトシンの副作用に大きな影響があります。

オキシトシンは愛情と信頼を築くホルモンなので、母親とわが子が触れ合っている時に多量に分泌され、母と子は愛情を強めていきます。

夫が育児に非協力的な場合、幸せを壊したり、母子関係を脅かす存在だと感じて、夫は攻撃の対象となります。

高濃度のオキシトシンは、副作用として他者への攻撃性を高めるので、妻にイライラした態度を取られます。

トラブルを回避する方法

産後クライシスを回避して仲の良い夫婦関係を維持したいのなら、妻に共感して寄り添い、子育てには真剣に取り組まないといけません。

パパがママと向き合って
育児の悩みや意見に耳を傾けて一緒に考える

ママと向き合って会話をして、悩みを聞きましょう。
具体的なアドバイスや解決法がなくても大丈夫。

「そうなんだ、大変だったね」と共感するだけでも、自分の悩みが受け入れられたと感じて、リラックスした状態になれます。

また批判することは避けましょう。
攻撃性を高めてしまいます。

反対意見を言いたい場合は、一度相手の考えを受け入れてから、伝えましょう。

積極的に育児に関わる

パパも子どもをあやすと体内でオキシトシンが増え、赤ちゃんも体内でオキシトシンが増えるという実験結果があります。

育児に参加し、触れ合うことで、子どもに愛着が高まります。子育てに関わるほど親子の絆や夫婦の絆が深まっていきます。

オキシトシンの科学

オキシトシンの主な作用としては、抗ストレス作用、摂食抑制作用があります。

生殖行動

オキシトシンは進化的に見ると非常に古いペプチドホルモンで、その祖先系のペプチドは哺乳動物だけでなく、線虫やアリなどにも存在しています。

線虫からオキシトシンを欠損させると、オスとメスが接合して卵を産むことができなくなるので、生殖行動に関係する重要なペプチドだと考えることができます。

分泌

オキシトシンの産生部位は、視床下部の視策上核と室傍核で産生されます。

下垂体で産生されたオキシトシンが下垂体後葉に送られて、ホルモンとして血中に放出されるほかに、下垂体を経ずに視床下部から長い神経の軸索を通って標的細胞に運ばれてオキシトシンを分泌し、神経伝達物質の役割も果たしております。

さらに脳の中でも分泌されます。分泌されたオキシトシンは扁桃体や大脳皮質など、脳の中において作用しているのではないかと考えられます。

オキシトシンの投与

オキシトシンを人に投与すると、他人に対する信頼感を増加させるという報告があります。

社会行動に障害がある自閉症スペクトラムの患者さんにオキシトシンを投与したところ、前頭前野の活動が増加して、症状の改善が見られたという報告もあります。

さらに、オキシトシンは、前頭前野、海馬、扁桃体などに働きかけるホルモンとして、例えば、うつ病に関わりの深い海馬の神経細胞の新生を促進させることによって、うつ病を改善する可能性があります。

人間関係が苦手な人や恋愛下手な人は、オキシトシンの分泌を増加させることで、本来ある共感力を高めることができ、人間関係の苦手意識を克服できる可能性があります。

オキシトシンとストレス

実はオキシトシンもストレスホルモンです。

ストレス反応として放出されると、人の支えを求めたくなります。

オキシトシンは友達や家族との触れ合いを求めさせます。

共感を強め、大切な人たちを支え助けたい気持ちにさせます。

オキシトシンは脳に働きかけるだけでなく、体にも作用します。

大きな役割は、ストレスの影響から心血管系を守ることです。

1,000人のアメリカ人の成人を対象にした調査では、大きなストレスにより5年後の死亡リスクが30%高くなりました。

これに対して、他の人を助けるのに時間をかけていた人では、死亡リスクの増加が全くみられなかったという調査結果もでています。

オキシトシンを分泌させる人との触れ合いや、他の人を助けることによって、ストレスから体を守ることができます。

8章 気