「世界の長寿の故郷」、「世界で一番長生きが多い里」と呼ばれる中国・広西 チワン族自治区・巴馬(バーマ)。
香港の西、中国の南部でベトナムとの国境に近く、山々に囲まれた閉鎖的な場所にあります。
人口が27万人ほどで、チワン族、ヤオ族、漢民族など12の民族が集まって生活しています。
そのうち100歳以上のお年よりは81人で、100歳を超える人の比例から見ると、巴馬が世界で最も高いのです。
「巴盘屯」と言う村には515人住んでいますが、100歳を越えた人は7人います。
人口1万人当たりで計算すると136人になり、この割合はユネスコが設けた長寿地域の基準の約170倍です!
しかも認知症や寝たきりの人が1人もいない。みんな現役で働いています。
病院がなく、実際に医者いらずな人がほとんどだという。
何を食べたらこの村の人達のように、健康で長生きできるのでしょうか?
肥満の増加は世界的な問題となっています。
健康的に長期的にやせられるダイエットは何か?
減量効果があると言われている「低炭水化物食(糖質制限ダイエット・アトキンスダイエット)」、「地中海食(地中海式ダイエット)」、「低脂肪食ダイエット」の減量効果を比較した実験がおこなわれました。
やせる(ダイエット効果がある)のはどれ?
- 低脂肪食
- 低炭水化物食(糖質制限ダイエット・アトキンスダイエット)
- 地中海食(地中海式ダイエット)
それぞれの食事を2年間にわたって、体重変化を調査しました。
2年後の体重変化
2年後の減量効果を比較したところ、「地中海食(−4.4kg )」と「低炭水化物食(−4.7kg )」は同程度の減量がみられ、「低脂肪食(−2.9kg )」よりも効果がありました。
- 低炭水化物食(−4.7kg )
- 地中海食(−4.4kg )
- 低脂肪食(−2.9kg )
短期的には低炭水化物食での体重減少がかなり大きいです。
しかし半年後から低炭水化物食にリバウンドがおこりました。
中長期的(1年後)には地中海食と低炭水化物食には有意差がなくなりました。
6年後の体重変化
2年間の実験が終わった後、4年後に被験者を追跡調査しました。
各々リバウンドして、低脂肪食(2.67kg)、地中海食群(1.4kg)、低炭水化物食(4.1kg)体重が増加しました。
6年間を通しての体重減少は、地中海食の食事のグループが最も効果的でした。
- 地中海食(-3.1kg)
- 低炭水化物食(-1.7kg)
- 低脂肪食(-0.6kg)
イタリア、ギリシャ、スペインなどの地中海沿岸の国々の人が食べている伝統的な料理である「地中海食」。
地中海食は、「記憶能力」および「健康」に対する良好な研究結果が繰り返し報告されています。
地中海沿岸諸国では、心臓の病気がある人の割合が少なく、地中海食が疾患の予防や症状の改善に良いと言われています。
イギリスやドイツ、北欧などに比べて、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患が少ないのです。
そこで、地中海沿岸諸国の伝統的な食事法が「地中海式ダイエット」として注目されました。
2013年に国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)は、地中海食を無形文化遺産として登録しています。
長寿な人の割合が非常に高い地域は、ブルーゾーンと呼ばれています。
このブルーゾーンに住む人達は、60歳を超えても活動的で、見た目も若々しく、とても元気です。
デーニッシュ・ツイン・スタディという調査によると、人の寿命を決めるもののうち、10%だけが、生物学的なもの、遺伝子です。
残りの90%はライフスタイルで決まります。
では、健康と長寿になれるライフスタイルはどのようなものか?
米国人研究者ダン・ベットナー(1960年生まれ)が、2004年から専門家グループ(医者、人類学者、人口学者、栄養学者、疫学者たち)とチームを組み、世界にあるブルーゾーンを調査をしました。
Danish Twin Studyと呼ばれる研究によれば、生物学的限界内で平均的なヒトが生きる寿命が遺伝的に決まるのは、わずか10%です。
残りの90%が生活習慣によって決まります。では、どのような生活習慣をすれば長寿となれるのでしょう。
百寿者の特徴
百寿者は体の丈夫さ、生活、性格もそれぞれですが、共通点として多いものがあります。
- 慢性炎症の抑制
- 微小循環が良好
- 血管が柔らかく、しなやかで血管年齢が若い
- 地域の伝統食(穀物、植物性食品、魚介類、海藻類、発酵食品)を食べている
- 腸内細菌の優良菌(善玉菌)の割合が高い
- 食事は腹八分目(食べすぎない)
- 日常生活で負荷の強い身体活動(運動)をしている
- 孤独感を感じていない
- 人生、生きることへの幸福感(満足感)が高い
- ストレスを溜めない
- ストレスを肯定的に受け取る
- 自分の人生を肯定的にとらえる(ポジティブシンキング)
- 生きがいをもっている
食事は、カロリーが非常に低い日本の伝統的な食文化である伝統食「和食」。
一汁三菜を基本に、栄養のバランスが非常に優れている「まごはやさしい」の食材を取り入れましょう。
炎症は健常状態に回復する(恒常性を正常に維持する)ために起こります。
しかし炎症の進行が緩やかに持続する慢性炎症は、生活習慣病やがんを含む加齢関連疾患に共通する基盤病態となっています。