どのような食事をすれば、ダイエットが長期的に成功するのか。
特定の食事と長期的な体重の変化との関連を調べる、大規模な研究しました。
最大20年にわたり、肥満ではない男女10万以上のアメリカ人を対象に、肥満を予防するための食事と生活習慣を調査しました。
結果、精製穀物、肉、揚げ物などの食事が、体重を増やすことがわかりました。
また、おやつに定番のポテトチップス、お菓子やデザート、砂糖が入った飲み物も、体重の増加と関連していました。
全粒穀物、果物、野菜、ナッツ、ヨーグルトの摂取は、体重を減らしました。
この中でも最も体重が減少したのは、ヨーグルトでした。
30年にわたり10万以上の人を調査したアメリカの大規模な研究から、ナッツの摂取量が多い人ほど、死亡率が低いことがわかりました。
ナッツを週1回未満しか食べない人でも、まったく食べない人に比べれば、死亡率は7%低くなり、ナッツを毎日食べる人は死亡率が20%も低くなりました。
また、ナッツを食べる人は細身であることがわかりました。
不健康な食事が原因で、世界で年間に1000万人以上が死亡しているという調査結果が、2018年11月に発表されました。
死亡した人の5人に1人で不健康な食事が原因になっており、その影響は高血圧や喫煙よりも深刻です。
食事改善で多くの命を救える
食事をどのように摂るかという問題は、2型糖尿病、心血管疾患などの慢性的な健康障害に直結しています。
食事を改善することで、5人に1人の死を防ぐことができます。
ワシントン大学の健康基準・評価研究所(IHME)のアシュカン アフシン博士は次のように述べています。
「不健康な食事はどんな人でも深刻な問題になりえます。
年齢や性別、地理的な影響、経済状態などに関わらず、早死の原因になるのです」
2017年に不健康な食事が、世界の1,090万の死亡の原因になっています。
これは成人の死亡の22%を占めることが明らかになりました。
病気や障害、早死により失われた年数を示す障害調整生存年(DALYs)は2億5,500万に達しました。
全DALYsの16%を占めます。
油(食用油)は体に悪いと言われることがありますが、三大栄養素として、栄養素としての脂肪は、炭水化物、たんぱく質と共に重要です。
食用油、肉・魚の脂身、ナッツ、種、アボカド、チョコレートなど油・脂質・脂肪=脂肪酸が豊富に含まれています。
脂肪の中でも「必須脂肪酸」と呼ばれる脂肪酸は、体内で合成できないため、摂取する必要があります。
オメガ3の「α-リノレン酸」とオメガ6の「リノール酸」は共に、必須脂肪酸に含まれます。
液体の油=血液がサラサラ?
常温で固体:飽和脂肪酸
常温で液体:不飽和脂肪酸
があり、オメガ3とオメガ6はどちらも液体の不飽和脂肪酸です。
常温で固体の動物脂肪(脂身)が血液をドロドロにして、常温で液体の植物油は血液をサラサラにしてくれそうですが、そうではありません。
常温で液体のオメガ6には血液をドロドロにする作用があり、オメガ3には血液をサラサラにする作用があるのです。
イタリア、ギリシャ、スペインなどの地中海沿岸の国々の人が食べている伝統的な料理である「地中海食」。
地中海食は、「記憶能力」および「健康」に対する良好な研究結果が繰り返し報告されています。
地中海沿岸諸国では、心臓の病気がある人の割合が少なく、地中海食が疾患の予防や症状の改善に良いと言われています。
イギリスやドイツ、北欧などに比べて、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患が少ないのです。
そこで、地中海沿岸諸国の伝統的な食事法が「地中海式ダイエット」として注目されました。
2013年に国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)は、地中海食を無形文化遺産として登録しています。
長寿な人の割合が非常に高い地域は、ブルーゾーンと呼ばれています。
このブルーゾーンに住む人達は、60歳を超えても活動的で、見た目も若々しく、とても元気です。
デーニッシュ・ツイン・スタディという調査によると、人の寿命を決めるもののうち、10%だけが、生物学的なもの、遺伝子です。
残りの90%はライフスタイルで決まります。
では、健康と長寿になれるライフスタイルはどのようなものか?
米国人研究者ダン・ベットナー(1960年生まれ)が、2004年から専門家グループ(医者、人類学者、人口学者、栄養学者、疫学者たち)とチームを組み、世界にあるブルーゾーンを調査をしました。
「幸せホルモン」や「幸福ホルモン」とも呼ばれるセロトニンは、脳内で働く神経伝達物質のひとつです。
ドーパミン(快感をもたらす)やノルアドレナリン(積極性を高める)などをコントロールして、感情や精神の安定に深く関わっています。
また、セロトニンは精神面だけではなく、消化や排便、体温調節など、体の様々な働きに関わっています。
睡眠、生体リズム調節、脳の覚醒に関わり、メラトニンとは逆に昼に多く分泌され、夜は分泌量が低下します。
またホルモンとしても働き、消化器系や気分、睡眠覚醒周期、心血管系、痛みの認知、食欲などを制御しています。
Danish Twin Studyと呼ばれる研究によれば、生物学的限界内で平均的なヒトが生きる寿命が遺伝的に決まるのは、わずか10%です。
残りの90%が生活習慣によって決まります。では、どのような生活習慣をすれば長寿となれるのでしょう。
百寿者の特徴
百寿者は体の丈夫さ、生活、性格もそれぞれですが、共通点として多いものがあります。
- 慢性炎症の抑制
- 微小循環が良好
- 血管が柔らかく、しなやかで血管年齢が若い
- 地域の伝統食(穀物、植物性食品、魚介類、海藻類、発酵食品)を食べている
- 腸内細菌の優良菌(善玉菌)の割合が高い
- 食事は腹八分目(食べすぎない)
- 日常生活で負荷の強い身体活動(運動)をしている
- 孤独感を感じていない
- 人生、生きることへの幸福感(満足感)が高い
- ストレスを溜めない
- ストレスを肯定的に受け取る
- 自分の人生を肯定的にとらえる(ポジティブシンキング)
- 生きがいをもっている
食事は、カロリーが非常に低い日本の伝統的な食文化である伝統食「和食」。
一汁三菜を基本に、栄養のバランスが非常に優れている「まごはやさしい」の食材を取り入れましょう。
炎症は健常状態に回復する(恒常性を正常に維持する)ために起こります。
しかし炎症の進行が緩やかに持続する慢性炎症は、生活習慣病やがんを含む加齢関連疾患に共通する基盤病態となっています。
体が錆びる?
わたしたちは、酸素を呼吸で取り込んで、細胞で体の働きの元となるエネルギーをつくります。
エネルギーと同時に活性酸素もできます。
酸化は、身体を錆びつかせるように、活性酸素が細胞に障害を引き起こすことです。
老化の原因とされるだけではなく、癌や生活習慣病、あらゆる体の不調にもつながっているとされます。
「薬食同源」とは、薬と食事は同じ源からという言葉で、食事によって未病(発病する前の状態)を治そうとする中医学の考え方です。
この発想が元になって、日本で造語されたのが「医食同源(いしょくどうげん)」。
日頃からバランスの取れた美味しい食事をとることで病気を予防し、治療しようとする考え方を呼びます。
今のあなたの体にはどのような食事(薬)が必要ですか?
『汝の食事を薬とし、
汝の薬は食事とせよ。』
-ヒポクラテス(古代ギリシアの医者)-
『食べ物で治せない病気は、
医者でも治せない。』
-ヒポクラテス(古代ギリシアの医者)-
健康に生きるために、身体を作る源となる栄養や、体を動かすエネルギーを食べ物から摂る必要があります。
どのような栄養が必要ですか?